Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
イムノPCR法を安価、迅速、簡便、超高感度、かつ多検体処理可能な抗原検出法にするために検討を行って、以下のことを確立した。1.レポーターDNA(rDNA)は76塩基の合成DNAとし、rDNAを抗原認識抗体に直接化学標識した。2.PCRは最短時間で十分な増幅を実現するために、40分(35サイクル)で完了する条件を決定した。3.PCR産物の検出は、2通りのPCR-ELISA:ビオチン標識プライマーとジゴキシゲニン(dig)標識プライマーまたはdig標識ヌクレオチドによるPUR法を碓立した。PCR-ELISAはストレプトアビジン固相マイクロプレートを用いて常法により行った結果、dig標識ヌクレオチドを用いたPCR法がdig標識プライマーを用いたPCR法よりも検出限界は100倍優れていた。イムノPCR法はB型肝炎ウイルスS抗原(HBsAg)を常法によりPCRチューブへ固相化して検討した。そして、既存法であるELISAプレートによるHBsAgの関節抗体法の検出限界が210pg/mLであったのに対し、dig標識プライマーを用いたイムノPCR法のそれは500fg/mLであった。(420倍の検出限界向上)。また、全工程にかかる時間は約3時間であったことから、概ね所期の目標を達成することができた。dig標識ヌクレオチドを用いたイムノPCR法の検出限界は更に向上すると期待される反面、ランニングコストが大きい欠点がある。そのため、コストを考慮した反応組成の最適化を検討している。