Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスである。HTLV-1はCD4陽性T細胞特異的に潜伏感染し、平均50年の潜伏期間を経てATLを発症する。本研究ではヌクレオソーム構造変換に関わるクロマチンリモデリング因子がHTLV-1潜伏過程に関与するのか否かを検討するため、以下の解析を行った。1.まずクロマチンリモデリング因子hBrm存在下におけるHTLV-1プロモーター活性を検討した。HTLV-1プロモーターの下流側にルシフェラーゼ遺伝子を連結したレポーターベクターを用いてルシフェラーゼ活性を測定したところ、HTLV-1プロモーター活性はhBrm存在下において抑制されることが明らかとなった。2.次にウイルス自身がコードする転写活性化因子Taxが上記の現象に関与するのか否か解析した。興味深いことに、hBrmによって誘導されるHTLV-1プロモーター活性の抑制はTaxによって解除されると同時に、転写亢進を誘導することが明らかとなった。さらにその分子メカニズムを検討するため、Tax存在下および非存在下においてhBrmがHTLV-1プロモーターに結合するか否かをクロマチン免疫沈降法により解析した。すると、Tax非存在下ではhBrmがHTLV-1プロモーターに結合したが、Tax存在下ではプロモーター結合活性が消失していた。3.hBrmの発現は一部ヒトがん細胞株において欠損する傾向がある。そこで、複数のATL由来細胞株におけるhBrmの発現動態を解析したところ、調べたすべての細胞株においてhBrmが安定に発現していた。興味深いことにHTLV-1のターゲットであるCD4陽性T細胞においてhBrmが強く発現していることが報告されており、上記の結果はウイルス潜伏過程においてhBrmが有利に作用する可能性を示唆する。
All 2006 2005
All Journal Article (5 results)
Retrovirology 3
Pages: 71-71
Pages: 88-88
Retrovirology 2/29(WEB上で公表)
Retrovirology 2/46(WEB上で公表)
Journal of Virology 79/18
Pages: 11925-11934