Project/Area Number |
17790313
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Virology
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
永田 典代 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (30270648)
|
Project Period (FY) |
2005 – 2006
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
|
Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | SARS-CoV / 病原性発現機序 / 感染動物モデル / 感染モデル動物 |
Research Abstract |
重症急性呼吸器症候群(SARS)発症モデルの作製とSARSコロナウイルス(SARS-CoV)の病原性発現機構を解明することを目的とした。マウス、ラットはSARS-CoVに感受性を示すが、ウイルスは早期に排除され、SARS発症には至らなかった(Nagata et al., 2006)。そこでまず、マウス、ラットを用いてヒトから分離されたSARS-CoVを繰り返し継代し、その病原性の変化について観察した。10代継代後のウイルスはそれぞれの動物において増殖性、病原性を増したため、動物へ馴化したと考えられた。ウイルスのレセプター結合領域の遺伝子配列を調べたところ、アミノ酸変異を伴う遺伝子変異が一カ所確認できた。構造解析とin vitroの実験からラットにおいてその変異がウイルス感染性の増加に関係することを示唆する所見が得られた。つぎに、4週齢と半年齢動物におけるマウス、ラット馴化ウイルスの病原性を比較した。その結果、いずれの動物も一過性に体重減少がみられたが、半年齢動物で体重減少率が高く、接種1日目から激しい呼吸器症状を示し、3日目以降に30-50%が瀕死となった。組織学的に半年齢では重度な肺水腫と出血を伴う急性肺炎を呈し、死亡例では肺全体に広がる重篤な肺水腫を伴うび漫性肺胞傷害をみとめた。サイトカイン量の測定結果から、半年齢動物における炎症性サイトカインと抑制性サイトカイン応答の不均衡が示唆され、これが炎症の増悪に起因すると考えられた。ヒトと同様にSARS発症のリスク因子として高齢が関与することが明らかとなり、SARS-CoVによるSARS発症のウイルス側因子と宿主側因子の一つが明らかとなった(Nagata et al., 2007)。また同時に、SARS発症動物モデルを作出した。
|