Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究では、一般生活集団における有機リン系殺虫剤および合成ピレスロイド系殺虫剤の曝露レベルを直接的に生体試料から把握するための測定法の開発・応用を目指し、各種検討を行った。また、各種病態モデル動物を用いた殺虫剤の毒性実験を行い、疾患罹患時における殺虫剤曝露が及ぼす生体への影響を評価し、以下の成績を得ることができた。1.我々が開発した高感度殺虫剤代謝産物測定法を用いて、職業的に殺虫剤に曝露していないヒトを対象とした低濃度殺虫剤曝露状況を把握することができた。殺虫剤散布作業者の有機リン系殺虫剤および合成ピレスロイド殺虫剤の曝露レベルをモニタリングした。その結果、殺虫剤散布作業時間と殺虫剤尿中代謝産物の間に有意な正の関係が確認できた。2.有機リン系殺虫剤の1つであるダイアジノン(DZN)の毒性に関する検討を行った結果、ストレプトゾトシン誘発性のI型糖尿病ラット群ではコントロール群に比し、AChEおよびChEのinhibitorであるDZN-オキソンの体内産生が過剰となり、その結果としてコントロール群よりもダイアジノンの毒性が増したことが示唆された。3.II型糖尿病モデルラットであるGKラットを用いてDZNの毒性に関する検討を行った。その結果、GKラットの耐糖能はDZN腹腔内投与によってコントロール群に比べて有意に悪化した。この現象の作用機序は未だ解明できていないものの、DZNによる体内への影響が疾患モデル動物で確認できたことから、疾患罹患患者が殺虫剤をはじめとする化学物質に対する感受性が変化している可能性を示唆することができた。
All 2007 2006 2005
All Journal Article (3 results)
Int. Arch. Occup. Environ. Health. 80(3)
Pages: 217-227
Journal of Chromatography B 832
Pages: 58-66
Toxicology 213
Pages: 129-137