Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
心筋炎を引き起こす自己抗原(エピトープ)については1994年WegmannらのグループがルイスラットのMHC class IIモチーフを用いて17アミノ酸レベルで解明を行った.(KLELQSALEEAEASLEH : CM2)。このT細胞株も樹立され別固体への移入試験によって自己免疫性心筋炎が発症することが確認されている。MHC拘束の原理から、提示されるペプチドはアミノ酸レベルで一時配列全てが同じ必要はなく-----S-----E-----という6番目のセリンと13番目のグルタミン酸が鍵となっている。そこで、このモチーフを用いてMHC class IIには拘束されるが、心筋炎を引き起こさないであろうペプチド(偽心筋炎ペプチド)を作成し、上記CM2感作前後にて偽ペプチドを感作することにより各々の心筋炎エピトープのMHC拘束を競合させ自己免疫応答を減弱させることができるのではないかとの仮説を立てました。本年度は-----S-----E-----モチーフを軸とし各配列の特性に類似したアミノ酸(具体的には第1番目は塩基性なので類似のアルギニンやヒスチジンへ、2番目は疎水性で等電点の近いバリンへ)などいくつかの候補を作成しラットに感作予定であった。CM2についてはN末端をアセチル化させ感作とした。ペプチド合成の段階で純粋なペプチド感作が要求させる実験であるので、TOF-MASSにて分子量を測定したが、アセチル化の差が明確に分子量として検出することが困難であった。他ペプチドについてもアセチル化に安定性が求められるため、無数のアミノ酸作成を一時中断とし、また、-----S-----E-----モチーフによるペプチド作成も作成数を絞りTOF-MASSによる確認作業を繰り返し行うこととした。