Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
骨格筋は、個体の糖代謝調節に中心的役割を果たしており、本研究では骨格筋特異的STAT3欠損マウスの解析を介して、骨格筋STAT3の糖脂質代謝における生理的機能を明らかにすることを目的とした。1.骨格筋特異的STAT3欠損マウスでの遺伝子発現変化の検討STAT3遺伝子座にIoxP配列を挿入したマウスとMCKプロモーター下にCreリコンビナーゼを発現するマウスとを交配し、骨格筋特異的STAT3欠損マウスを作成した。Gene-chipによる遺伝子発現解析から、本マウスの骨格筋では、ミトコンドリアでの脂肪酸酸化・酸化的リン酸化に関わるATP合成酵素、チトクロームc、PGC-1遺伝子の発現が増加していた。2.代謝パラメータの検討骨格筋における脂肪酸酸化能は個体レベルでの糖代謝調節と密接に関係している。しかし、本マウスでは、8・16週齢での経腹腔的糖負荷試験において、血糖値・インスリン値ともに、対照と比較し有意な差を認めなかった。3.新規肝臓・骨格筋STAT3活性調節機構の検討中枢でのインスリン作用が自律神経を介し、肝・骨格筋の糖脂質代謝制御に重要な役割を果たすことが報告されている。そこで、脳室内インスリン投与による個体での糖代謝への影響と骨格筋・肝臓でのSTAT3活性化について検討した。脳室内インスリン投与により肝糖産生は抑制され肝臓STAT3は活性化されたが、末梢での糖利用および骨格筋STAT3活性化への明らかな影響は認めなかった(研究発表:Cell Metab.3:1-9,2006)。骨格筋特異的STAT3欠損マウスでは、骨格筋での脂肪酸酸化・酸化的リン酸化関連酵素の遺伝子発現が亢進しているが、個体での糖代謝は対照と差を認めなかった。中枢インスリン作用は、肝臓STAT3を介し肝糖産生を制御するが、骨格筋におけるSTAT3活性制御に明らかな影響を来たさなかった。
All 2006 2005
All Journal Article (3 results)
Cell Metabolism 3
Pages: 1-9
細胞 第37巻 第10号
Pages: 418-421
分子糖尿病学の進歩-基礎から臨床まで-2005
Pages: 50-56