Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
サイトカイン関連遺伝子を搭載したcDNAマイクロアレイを用いて、臍帯血樹状細胞(DC)および成人末梢血DCの遺伝子発現を比較し、両者の機能の相違を明らかにした。まず、臍帯血および成人末梢血より未熟DCとして単離し、cDNAマイクロアレイを用いてサイトカイン関連遺伝子の発現を比較した。また、各々のDCを成熟させた後、同様にcDNAマイクロアレイにより比較した。未熟臍帯血DCと成人末梢血DCの比較では臍帯血DCにおいて成人末梢血DCに比較して2倍以上の高い発現を示した遺伝子は計83遺伝子あり、カルシウム結合蛋白(calgranulin A、calgranulin B)、細胞周期関連分子(CDC2やCyclin B1)が上位10位以内に挙げられた。成熟臍帯血DCと成人末梢血DCの比較では、臍帯血DCにおいて成人末梢血DCに比較して2倍以上の高い発現を示した遺伝子は計7遺伝子であり、未熟臍帯血DCにおける比較で挙げられたcalgranulin A、calgranulin Bが最も高い発現を示した。また、成人末梢血DCにおいて2倍以上の高い発現を示した遺伝子は計48遺伝子であり、Th1サイトカイン関連遺伝子が上位遺伝子に含まれていた。さらにこれは定量的リアルタイムPCR法にて確認できた。また、フローサイトメトリー法により細胞周期解析を施行した。臍帯血中DCは成人末梢血中DCに比較して、S期、G2/M期の細胞が多く、細胞増殖が早いことが示唆された。1.臍帯血中DCと成人末梢血中DCとの間でサイトカイン関連遺伝子の発現パターンに相違を認めた。2.臍帯血中未熟DCは増殖能が高く成人末梢血中成熟DCはTh1タイプの免疫誘導能が高い可能性が示唆された。3.Calgranulinの機能は明らかではないが、免疫寛容誘導との関連が示唆されおり、新生児期における免疫能の未熟性と関連している可能性が挙げられた。