Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
1)免疫酵素抗体染色法を用いた、乾癬患者の病変部皮膚組織におけるS100A12蛋白の同定:S100A蛋白は、パラフィン切片ではなく未固定の切片の方が、明らかに染色性が高いため、我々は凍結皮膚組織切片を使用した。なお、これらの切片は当科を受診して、了解が得られている乾癬患者の病変部皮膚を採取したものである。凍結保存した皮膚組織切片に、一次抗体は先端生命科学研究所より提供していただいた抗CAAF1モノクローナル抗体GFD/CAAF1/22-5(マウスIgG1モノクローナル抗体)を使用した。さらにヒストファインシンプルステインMAX-POを滴下して、 DABで発色し観察した。その結果、乾癬病変部皮膚では表皮の基底層では健常人や乾癬非病変部と比較してS100A12蛋白の発現が著明に亢進していた。2)乾癬患者血漿中におけるS100A12の測定法の確立と臨床スコアとの相関:当科を受診し、了解の得られた乾癬患者の血液から、EDTAによる血漿を採取して凍結保存を行った。これまでのところ血清よりも血漿を用いた測定値の方が安定することが判明している。現在のところ保管した血漿は10例である。今後の実際の測定に関しては、当大学生体情報分子学教室、岩手医大解剖学教室および先端生命科学研究所から精製試薬やモノクローナル抗体の提供を得て、ELISAを利用した測定技術の確立ができた。また各症例の臨床症状のスコア化(PASI)を行ない、血漿中におけるS100A12濃度との相関関係の解析を予定している。