Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
申請者は子宮体癌血清と樹状細胞で免疫された悪性黒色腫患者血清を用いたcDNAクローニング法により癌精巣抗原CAGEを同定し、癌患者血清中の抗CAGE抗体価を調べたところ、マイクロサテライト不安定性(MSI)を持つ子宮体癌や大腸癌患者が高値を示した。このスクリーニングに用いた悪性黒色腫患者でも抗CAGE抗体が高値を示したことから、悪性黒色腫もMSI陽性腫瘍である可能性が示唆された。これまでに欧米では悪性黒色腫にもMSIが存在するのではないかとの報告があるが、その頻度は低く解析もほとんど行われていない。悪性黒色腫は欧米ではSSMタイプが、日本ではALMタイプが多いという違いがあり、日本で悪性黒色腫とMSIの関係を調べた報告はないことから病型との関係を調べることが重要である。今回、CAGEリコンビナントタンパク質を作製し、88例の悪性黒色腫患者血清について抗CAGE抗体の存在をウエスタンブロット法で解析した結果、12例(13.6%)に検出された。またELISA法により抗CAGE抗体を測定したところ、子宮体癌患者で健常人抗体価の平均±2SDを超える患者は45例中12例で、そのうち53.8%がMSI陽性であったが、悪性黒色腫では4例(4.5%)で、そのMSI状態は解析できず不明であった。なおEHSA法で高値を示した4例はウエスタンブロット法でも陽性であった。この結果から悪性黒色腫でも子宮体癌や大腸癌と同様に抗CAGE抗体陽性患者が存在することが明らかとなったが、その頻度は低いことが示された。この頻度は欧米の報告から予想される頻度より低いことから病型の違いを考察し、日本と米国による共同研究体制を整えて悪性黒色腫患者血清と癌組織の収集を行っている。今後、悪性黒色腫における抗CAGE抗体とMSI陽性の関係や、悪性黒色腫の病態におけるMSIの意義やその機序を明らかにする予定である。
All 2005
All Journal Article (1 results)
Clin Cancer Res 11・10
Pages: 3949-3957