Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
4番および13番染色体のde novo均衡転座を伴う統合失調症の孤発例について,FISH法による切断点解析を実施した結果,切断点領域をカバーするBACクローンを同定した.詳細なBACコンティグを構築したところ,4番染色体の転座切断点を約37.2kb領域内に絞り込んだ.この染色体領域には既知遺伝子が存在した.Predicted break point領域には,転写調節領域とexon 1が含まれていたことから,当該遺伝子が本症例における精神疾患の発症と関連した可能性が示唆された.当該遺伝子について,患者・対照研究を実施した結果,2つのLD blockで構成され,N末側に位置するSNP1-2-3-4のハプロタイプ頻度が患者群と対照群で有意に異なっていた(P=0.004).このことから,転座症例のみならず,一般の統合失調症集団とも関連することが示唆された.当該遺伝子は,各組織・器官の発生・分化・発達に重要な役割を果たす分子を調節する因子をコードしており,正常組織では,脳,肺,腎臓,脾臓で高い発現が見られる.疾患との関連を認めたハプロタイプは,5'上流領域および二量体形成に必須のN末側ドメインをコードするexon領域内に位置した.二量体化は,interaction moleculesとの複合体を構成する際に必須のプロセスである.したがって,統合失調症孤発例での機能的exon領域内のハプロタイプが疾患と関連を示したことは,統合失調症の病態に当該遺伝子産物の二量体化を介した機能低下がリスクファクターとして働く可能性を示唆した.本研究によって同定された遺伝子は,統合失調症の神経発達障害仮説を支持する新たな疾患感受性遺伝子のひとつであると考えられた.
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