Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
がんの核医学診断においてFDG-PETが急速に普及しているが、^<18>Fの半減期が110分と短いため、限られた施設でしか使用できないという問題点がある。それに対し放射性金属核種であるテクネシウム-99m(^<99m>Tc)は半減期が6時間と長く、γ線のエネルギーも核医学診断に適していることから、^<99m>Tcで標識した腫瘍診断用薬剤は非常に有用であると考えられる。そこで本研究では汎用性の高い新しい腫瘍診断用放射性生薬剤として、^<99m>Tc標識アミノ酸誘導体の開発を目的とした。腫瘍細胞においてはアミノ酸トランスポーターの一つであるLAT1が高発現していることが知られており、またLAT1の基質認識には比較的かさ高く疎水性の側鎖が重要であると報告されている。そこで、^<99m>Tcとコンパクトかつ疎水性の高い錯体を形成することが可能なトリカルボニル化合物を側鎖に導入したアミノ酸誘導体を設計した。最初に非放射性レニウム(Re)を用いて非放射性Re導入アミノ酸の作製を目指し、先にRe錯体を作製した後、グリシン誘導体との不斉反応によりL体のRe導入アミノ酸誘導体を選択的に合成することができた。現在、^<99m>Tc標識体の合成を試みている。一方、本薬剤はLAT1の基質として腫瘍細胞に取り込まれ、滞留する必要がある。そこでin vitroにおけるLAT1発現腫瘍細胞への取り込み実験の手技を確立する目的で、腫瘍診断用のアミノ酸製剤として臨床応用されている^<18>F-フルオロ-α-メチルタイロシンを用いて腫瘍細胞における取り込み実験を行い、実験手法を確立した。^<99m>Tc標識アミノ酸誘導体も同様にLAT1発現細胞への取り込みが期待される。