Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
Coherent SSFP法は、数ミリ秒間隔で照射されるRFパルスにより形成された定常状態下でデータ収集を行うことを特徴としているが、定常状態以前のデータを使用することにより、初期アーティファクトと呼ばれる偽像が生じるという問題点がある。本研究では、TARD法と呼ばれる簡便で効果的な手法を提案し、その臨床応用、評価を目的とする。特に今年度では、フィリップス社製1.5テスラMRI装置における有用性の確認を主に試みた。今年度は、数回にわたりフィリップス社主催のシーケンス開発講習会に出席し、TARD法のフィリップス社製MRI装置上への実装を行った。実験は、ファントム及び健常被験者を対象に、通常のシネMRIなどを用い、様々な撮像パラメタで撮像することにより行った。ファントム実験の結果、不均一磁場の大きいファントムの末端部で観測されるバンディングアーティファクトが、TARD法でdephasing angleを大きくするとその線幅が広がり、正しく実装されていることが確認できた。また、additional phase incrementとスライス位置の関係は線形に近く、傾斜磁場コイルの線形性が高いことが確認された。ただ、健常被験者を用いた実験においては、プリパルスとCoherent SSFP法との組合せが許されず、また、シネMRI撮像における血液流入による初期アーティファクトが、そもそもTARD法を用いなくても観測されず、TARD法の有効性を確認するには至らなかった。初期アーティファクトが観測されなかった理由としては、内部処理によりCoherent SSFP法がIncoherent SSFP法に自動的に切り替わっている可能性が示唆された。