MICAによる癌免疫逃避機構の解明と消化器癌ワクチン療法の効果増強
Project/Area Number |
17790917
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Digestive surgery
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
齊藤 博昭 鳥取大学, 医学部, 助手 (20335532)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 胃癌 / NKG2D / MICA / 免疫逃避 / MKG2D / 食道癌 / 免疫逃避機構 |
Research Abstract |
(はじめに) 免疫レセプターであるNKG2DはNK細胞やCD8 Tリンパ球などに発親し、これらの免疫細胞の活性化に関与することが報告されている。最近、癌患者においてCD8 Tリンパ球やNK細胞のNKG2D発現低下とそれにともなう機能低下が報告されており、癌による免疫逃避機構との関連が示唆されている。そこで今回の研究では胃癌患者においてNKG2D発現と免疫能との関連を調べるとともに、その制御による免疫治療の可能性を検討した。 (結果) 1.癌患者の末梢血CD8 Tリンパ球のNKG2D発現は健常成人と比較し有意に低値であった。さらに、NKG2D発現は低分化腺癌症例、進行癌症例、stage IV症例において有意に低値であった。 2.切除標本では、癌組織中のCD8 Tリンパ球のNKG2D発現は末梢血に比較して有意に低値であった。 3.NKG2D発現とCD8Tリンパ球のIFN-γ産生との間には有意な正の相関が認められた。 4.根治手術症例において手術前後で末梢血CD8 Tリンパ球のNKG2D発現を比較したところ、術後に有意なNKG2D発現の回復が認められた。 5.担癌患者におけるCD8 Tリンパ球のNKG2D発現低下との関連が示唆されている血中の可溶性MICA濃度は癌患者と健常成人との間に差が認められなかった。 6.胃癌細胞株との混合培養によりCD8 Tリンパ球の有意なNKG2D発現低下が認められた。一方で半透膜を使用して腫瘍細胞とCD8 Tリンパ球とのコンタクトを阻害するとNKG2D発現の低下は認められなかった。 7.腫瘍細胞との混合培養によるCD8Tリンパ球のNKG2D発現の低下は抗MICA抗体により有意に阻害された。 (結論) 胃癌患者におけるCD8Tリンパ球のNKG2D発現は癌の進行度とともに低下していた。この現象は腫瘍細胞表面に発現されているMICAにより誘導されており、癌による免疫逃避機構との関連が示唆された。したがって腫瘍細胞に発現するMICAを制御することにより癌による免疫逃避機構の一部が解除される可能性があり、免疫治療として有用である可能性が示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)