Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本申請研究は関節リウマチなど関節炎症性疾患における新規サイトカインIL-27の役割を明らかにすることを目的とし、IL-27のレセプターであるWSX-1遺伝子欠損マウスを用いて、関節リウマチのモデルであるマウスコラーゲン関節炎の病態解析を行った。元々WSX-1ノックアウトマウスはコラーゲン関節炎誘導抵抗性のC57BL/6マウス背景で作成されており、そのため昨年度では主にコラーゲン関節炎感受性のDBA/1マウスと戻し交配を行った。戻し交配を7世代まで終了(背景遺伝子99%以上)した時点で関節炎誘導実験を行った。ウシII型コラーゲンをフロイントコンプリートアジュバントとともにマウスに免疫し、同様の方法で3週間後に追加免疫を行った。関節炎の発症頻度はWSX-1遺伝子欠損マウスと正常マウスの間に明らかな差を認めなかったが、関節炎の重症度はWSX-1遺伝子欠損マウスでむしろ高かった。これは昨年度、戻し交配前のC57BL/6遺伝子背景のWSX-1遺伝子欠損マウスで行った予備実験で、正常マウスにはコラーゲン関節炎が発症しなかったが、WSX-1遺伝子欠損マウスにのみ弱いながらも関節炎の発症がみられたことと一致する。このWSX-1遺伝子欠損マウスでの関節炎増強機序を明らかにするため、II型コラーゲン特異的抗体産生を調べたところ、血清中の抗体価はWSX-1遺伝子欠損マウスで低値であった。T細胞のII型コラーゲン特異的サイトカイン産生能についても比較を行ったが、やはりWSX-1遺伝子欠損マウスでIFN-γ、IL-17などのサイトカインの産生がむしろ低下していた。これらの結果からWSX-1を介したIL-27のシグナルは関節炎の病態において負の制御因子として働いていること、その作用はT細胞やB細胞の機能抑制によるものではないことが明らかとなった。これはIL-27がT細胞やB細胞系の免疫機能は維持したまま、抗炎症活性を発現することを示唆しており、免疫抑制を引き起こさない抗炎症活性物質として、関節リウマチなどの関節炎症性疾患の新たな治療手段としてIL-27が応用できる可能性が考えられた。
All 2007 2006
All Journal Article (7 results)
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