Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
脳において水チャネルアクアポリン4(AQP4)は水の移動だけでなく、脳浮腫の進行に関与することが報告されている。一方、種々のサイトカインが脳浮腫の発生に関与していることもよく知られている。そこで、本研究では、脳損傷時に放出されるサイトカイン(IL-1β)によるAQP4の発現変化とその変化の機序を細胞内情報伝達系に注目して検討した。脳浮腫におけるIL-1βとAQP4との関係を明らかにすることにより、AQP4発現調節を主眼においた新しい脳浮腫治療法確立の手掛かりを得ることを目標にした。平成18年度の成果を以上に示す。(1)培養AstにおけるIL-1βによるAQP4の発現調節機構17年度の検討により、NF-κB阻害薬のみIL-1βによるAQP4発現増強を抑制することがわかっていた。さらなる検討の結果、IL-1βによるAQP4発現増強は、NF-κBを介した転写の増強によるものであることが明らかとなった。IL-1βは、レセプタを介してNF-κBを活性化、その結果AQP4の転写活生が活発化することが証明された。(2)脳損傷モデルにおけるIL-1βによるAQPの発現調節様々な脳損傷モデルにおいて検討する前に、IL-1βのラット脳により、AQP4の発現変化が生じるかどうかを検討した。ウエスタンブロット法や免疫組織化学染色により、IL-1βをラット脳室内に投与すると、AQP4の発現は増強することが明らかとなった。今後、様々な脳損傷モデルにおいて調査を行っていく予定である。