Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
平成17年度にヒト陰茎海綿体から樹立した2種類の細胞株は、免疫染色およびウエスタンブロットを用いた解析で、desmin、α-smooth muscle actin、calponinが陽性でありcytokeratin、CD31は陰性であった。これらのことから、我々の樹立した陰茎海綿体細胞株は平滑筋細胞株であることが確認された。今年度は、まず樹立した細胞株に対する男性ホルモンによる影響をみるため、細胞株におけるアンドロゲンレセプターの有無を検討したが,ウエスタンブロットで蛋白の発現を認めなかった。陰茎の勃起のメカニズムには一酸化窒素(NO)が関与している。一方で、血管平滑筋細胞や気管支平滑筋細胞ではNOは増殖を抑制するとの報告がある。陰茎海綿体平滑筋細胞株とNOの関連を調べるために、種々の薬剤を投与し細胞の増殖に関する検討を行った。樹立した陰茎海綿体平滑筋細胞株にNO donorを添加したところ増殖は抑制され、NOS inhibitorを添加すると増殖は促進された。また、勃起不全治療薬であるPDE5阻害薬を加えると有意差は認めないものの増殖が促進する傾向を認めた。この結果からは樹立した陰茎海綿体平滑筋細胞株はNOやcyclic GMPにより増殖が促進される可能性が示唆された。また、樹立した陰茎海綿体平滑筋細胞株におけるNO合成酵素の発現について免疫染色やウエスタンブロットで確認を行ったところ、内皮型NO合成酵素(eNOS)の発現を認めた。我々は、ヒト陰茎海面体から平滑筋細胞株を樹立することに成功し、陰茎の勃起に重要な役割を果たす一酸化窒素との関連を示唆する研究を行った。
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