Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
パラフィン切片上の個々の細胞におけるテロメア長をin situにて評価する方法(telo-FISH)を開発し、子宮頚部および子宮内膜の癌化過程におけるテロメア長の変化について検討を行った。1.Telo-FISH法の開発:ホルマリン固定パラフィン包埋切片とCy3ラベルテロメア相補的プローブを用いてin situ hybridizationを行った。Cy3シグナルおよびDAPIの蛍光強度をOpenlabで定量した。個々の細胞について、核内のCy3シグナル値をDAPI測定値で除してtelomere intensity(TI)を計算した。ヌードマウス皮下腫瘍を用いてTelomere Restriction Fragment (TRF) analysisおよびtelo-FISHを行った。TI値とTRFによるテロメア長には有意な正の相関を認めtelo-FISHによりテロメア長の定量的評価が可能であることが示された。2.臨床検体を用いたtelo-FISHによるテロメア長の解析:子宮頸部および子宮内膜について、正常組織/前癌病変/癌病変のtelo-FISHを行った。子宮頸部前癌病変であるCIN1およびCIN2では正常上皮に比べ病変部のTI値が有意に低下していた。CIN3および頸癌のTI値は、正常上皮より短い傾向にあるものの、有意な低下には至らなかった。免疫組織化学染色法による検討では、CIN2およびCIN3の中でもTI値が高い症例にhTERTの発現が強く、子宮頚癌発癌過程においてCIN2-CIN3でのテロメレース活性化とテロメア長回復の様子が示唆された。一方、子宮内膜では前癌病変である内膜増殖症のTI値は正常内膜と有意差がなかった。内膜癌のTI値は正常内膜に比べ低い傾向にあったが、有意差は認めなかった。3.染色体不安定性とテロメア長:染色体17p centromere/subtelomere領域のTissue-FISHを行った。CINでは正常子宮頚部上皮に比べ17pのarm loss/arm gainを示す細胞の比率が有意に高く、染色体の不安定化が示唆された。子宮内膜増殖症では17p arm loss/arm gainの増加は認めなかった。以上より、子宮頚癌では前癌病変におけるテロメア短縮が染色体不安定化を介する癌化に関与していることが示唆された。一方、子宮内膜癌では前癌段階でのテロメア長の明らかな変動は認めず、子宮頚癌・内膜癌の癌化過程におけるテロメア動態の違いが明瞭となった。
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Cancer Sci. (印刷中)