Project/Area Number |
17791182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Otorhinolaryngology
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyushu Medical Center |
Principal Investigator |
藤 賢史 九州医療センター臨床 (20380397)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | ABCトランスポータ / 頭頚部癌 / 唾液腺 / 化学療法 / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
ABCトランスポータは、細胞の形質膜に存在し、ATP依存性に物質の濃度勾配にかかわらず膜を介した能動輸送にかかわる膜蛋白である。生理的には脳血液関門や胎盤、肝臓など生体のバリアや異物排泄機構に機能的局在することが報告されている。耳鼻咽喉科・頭頚部領域は、体外からの異物の進入門戸あることや、また唾液腺や粘液腺組織が分布することから、口腔、鼻腔、咽口頭におけるABCトランスポータの機能的な発現の局在は、薬剤の作用や体外の化学物質への暴露を考える上で重要である。 今回我々は、主に頭頚部癌の切除標本、免疫染色を用いて、ABCトランスポータの発現を検討した。使用した標本は口腔癌、唾液腺癌、及び正常鼻腔粘膜である。今回は、ABCトランスポータスーパーファミリーを校正する分子種のうち、抗癌剤耐性や薬物の輸送に関与があるとされているMDR1,MRP1,MRP2について検討した。 これら3種のABCトランスポータ蛋白は、口腔癌、唾液腺癌ではいずれも陽性の症例を認めたが、全く染色されない症例もあった。この背景には、前治療の有無や発現制御に関する個人差が存在する可能性があると思われた。また、同一症例の癌組織のなかでも、MRP1,2は癌細胞が間質に浸潤する部分に発現が高い傾向にあった。浸潤や血管新生などと共役した発現メカニズムが存在する可能性がある。また、唾液腺組織では必ずしも、形質膜にのみ存在せず、細胞質が染色される症例を認めた。細胞内小胞にもABCトランスポータは存在することは、他のグループのABCトランスポータでは示されており、追加して検討したい。鼻粘膜では、MRP1のみが陽性で、その発現は腺細胞の鼻腔側の形質膜に限局していた。鼻汁への生理活性物質や外来からの異物の分泌・排泄にかわっているものと推測される。
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