Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
昨年度に髄膜炎モデルラットの作製を行っていたので、今年度はその聴覚機能評価、蝸牛の組織学的評価を中心に行った。モデルラットの作成方法は雌Wistar系ラット(8週齢)に対してケタミン・キシラジンの腹腔内投与により麻酔を行い、頭部を脳定位固定装置に固定した。27G針にてE.coli由来のLPS250μgを大槽内に注入して髄膜炎を惹起する方法を採用した。個体数を増やしてこの方法を行ったが、このモデルで髄膜炎を発症して、実験に使用できた動物は35%であった。残りの動物は髄膜炎を発症しなかったか、髄膜炎のためそのまま死亡した。実験に使用できたモデル動物の聴力域値測定は聴1生脳幹反応検査を用いた。ケタミン・キシラジンの腹腔内投与で麻酔後、tone burstで4,16kHzの域値測定を行った。注入後数日間は髄膜炎症状がみられ、麻酔を行うだけで死亡するラットが多いため、回復がみられる1週間後に評価を行った。聴力域値は処置前より20〜35dB上昇していた。いったん聴力域値が上昇すると、その後改善はみられなかった。またモデル動物蝸牛の組織学的評価を行った。ケタラールを腹腔内に投与して安楽死させ、内耳を取り出し、固定、脱灰、JB4包埋、薄切してHE染色を行った。髄膜炎発症ラットでは外リンパ腔に出血や炎症細胞浸潤がみられ、外リンパ腔を中心に障害をうけていることがわかった。今後はさらに詳細にコルチ器などの評価を行っていく予定である。