Project/Area Number |
17791202
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Otorhinolaryngology
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小笠原 香織 順天堂大学, 医学部, 助手 (50317442)
|
Project Period (FY) |
2005 – 2006
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
|
Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
|
Keywords | Gjb2 / ノックアウトマウス / コルチ器 / アポトーシス |
Research Abstract |
GJB2は1997年に発見された遺伝子で、ギャップジャンクション蛋白であるコネキシン26(CX26)をコードする遺伝子であり、難聴遺伝子の中で最も変異の頻度が高い遺伝子として注目を集めている。その動物モデルとしてgjb2コンディショナルノックアウトマウスを作成し、その生理学的・形態学的解析を行った。 Cre recombinase 存在下でgjb2遺伝子翻訳領域が切り取られるようにコンストラクトを作成した。ターゲッティングベクターはネオマイシン耐性遺伝子を挿入し、二重選別法を用いて相同組換えを行い、ES細胞に2つのloxPサイトを導入した。このES細胞をC57BL6マウスの胚盤胞へ注入してキメラマウスを作成し、C57BL6マウスと戻し交配を行いF1マウスを得た。組織特異的にCre recombinaseを持つトランスジエニックマウスとホモ接合体を交配させ、遺伝子欠失マウスを同定した。 Cx26の免疫蛍光染色で、ヘテロ変異マウスではコルチ器の支持細胞、ラセン靭帯の線維細胞から血管条の基底細胞にかけて豊富に分布していたが、ホモ変異マウスで発現が全体的に低下していた。トーンバーストを用いたABRにての聴力検査ではヘテロ変異マウスはどの周波数(8,12,16,20kHz)でも聴力域値が30dB以下なのに対し、ホモ変異マウスは70〜80dBと高度の難聴を認めた。また、周波数ごとにホモ変異マウスとヘテロ変異マウスの差をとると、高周波数になるにつれ差が大きくなった。 基底回転と第2回転においてホモ変異マウスのコルチ器は高度に変性していた。頂回転ではコルチ器の崩壊は認めたが、基底回転や第2回転ほど高度ではなかった。ABRにてホモ変異マウスはヘテロ変異マウスと比較して高周波数の聴力のほうが低下しており、HE染色の基底回転側が高度に崩壊している所見と一致した。 ホモ変異マウスのコルチ器の透過電顕所見では、内有毛細胞は保たれているが、外有毛細胞は変形しており、1列に減少していた。また、コルチトンネルの崩壊を認めた。支持細胞にも著明な変形がみられた。血管条とらせん靭帯には明らかな異常は認めなかった。 細胞死の原因としてアポトーシスの関与を考え、検討した。ホモ変異マウスのコルチ器にはTUNEL、Caspase-3ともに数個の陽性細胞を認め、アポトーシスの関与が示唆された。 タイトジャンクションとアドヘレンスジャンクションについての免疫染色を検討した。ZO-1ではコルチ器、辺縁細胞の一部、ラセン板縁表面の一部に発現を認め、ヘテロ変異マウスとホモ変異マウスに大きな発現の差はみられなかった。また、血管条の基底細胞にも同様の発現を認めた。β-catenin、E-cadherinの染色で代表されるアドヘレンスジャンクションでは同様にコルチ器の内リンパ側、辺縁細胞の一部、ラセン板縁表面の一部に発現し、ヘテロ変異マウスとホモ変異マウスに大きな差は認めなかった。
|