Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
【目的】喉頭扁平上皮癌症例の根治治療には、早期症例では放射線治療を、進行癌症例では手術を選択することが多々あるが、その中には局所再発、頚部リンパ節および遠隔転移を生じ予後不良症例もみられる。これらの症例と局所再発、頚部リンパ節および遠隔転移を生じず良好な予後をたどる症例において、細胞増殖や転移に関するEGFR抗体、Her-3抗体等の発現を調べ、予後との関係を明らかにし、癌治療への応用の可能性を検討するために本実験を行う。【方法・対象】当科において根治治療を行った喉頭扁平上皮癌症例で、局所再発、頚部リンパ節および遠隔転移がみられず予後良好な症例と治療後再発や転移をきたした喉頭扁平上皮癌症例を選択し、免疫組織化学染色をDAKO社製自動免染機を用い施行する。喉頭声門上および声門癌、T1-T2、T3-T4の症例(喉頭)を各10症例ずつを対象とし、50倍に希釈したEGFR-1抗体(Ventana medical system)、Her-3抗体(Ventana medical system)の一次抗体と、DAKO EnVision TM Systemを用い、免疫組織化学染色を行う。染色には、連続切片を準備し、H&E染色も作製、癌細胞の有無を確認しながら、染色の有無を確認し、予後と関連を調べる。【結果】T1-T2症例のEGFR抗体陽性例は5例、T3-T4の症例のEGFR抗体陽性例6例、T1-T2症例のHer-3抗体陽性例は6例、T3-T4の症例のHer-3抗体陽性例は5例であった。いずれも、癌細胞の細胞質が染色された。しかしながら、各抗体陽性率と予後との相関はみられなかった。【結論】喉頭扁平上皮癌症例において、EGFRおよびHer-3蛋白の発現がみられることがわかった。しかしながら、染色した症例数が少なく予後との関連がみられなかった。