Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本年度の計画は以下のとおりであった。1.家兎硝子体切除術の施行および視神経乳頭切開部位へのリコンビナント蛋白の注入および同部位の脈絡膜新生血管形成の評価2.scanning laser ophthalmoscope(SLO)で新生血管内血流および網膜循環時間を測定し改善度を評価すること本年度は実際にVEGFを切開部位に注入することと、網膜循環の定量化を発展させ確立させた。1.家兎硝子体切除術は硝子体剥離および放射状視神経切開術の施行はともに合併症なく完遂できるようになった。視神経乳頭切開部位へのリコンビナントVEGF蛋白の注入は同部位にとどまらせるように注入することは非常に困難で、どどまらせるには網膜下や視神経乳頭内に注入する必要があった。血管内皮増殖因子(VEGF)注入後1か月では同部位に血管新生は認められなかった。網膜中心静脈閉塞症モデルを作製し、放射状視神経切開を加え、同部位にVEGFを注入するも、術後1か月で明らかな網脈絡膜静脈吻合は認められなかった。2.昨年度同様にSLOでの評価は中止しHeidelberg Retina Angiograph2(HRA2)での評価方法の確立を進めた。実験的網脈絡膜静吻合は形成されないため、ウサギの新生血管形成前後の網膜循環の評価は施行できなかった。しかし、実際に臨床において網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、糖尿病網膜症患者でも同様にHRA2での網膜循環の測定条件を決定できつつあり、実際に硝子体手術前後、抗VEGF薬であるavastin【○!R】の投与前後での網膜循環の変化を定量化できるようになった。実際に糖尿病黄斑浮腫に対するavastin【○!R】投与前後の網膜循環が悪化(もともと増加していたものが正常化)することが解明され、糖尿病眼学会のシンポジウムで報告した。