Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
歯の形状と空間的位置の関係を明らかにすることを目的に実験を行った。昨年度に引き続き、Wntプローブを作成するためにWnt cDNAライブラリーの作成を試みたが、期間中に作製できなかった。また、歯特異的なエナメル質の形成を担うエナメル芽細胞の分化過程を解明するためにエナメル芽細胞の細胞培養株化を試みたが、細胞培養株は作製できなかった。そこで、生後8日令のICRマウス切歯根端から取り出したエナメル芽細胞をもちい、エナメル質形成に於けるTGF-β1の作用について調べた。TGF-β1は上皮間葉相互作用に関わる分子の一つで、歯間葉由来の象牙芽細胞の分化やエナメル芽細胞の分化に必須の分子であると考えられている。マウス切歯根端から取り出したエナメル芽細胞を取り出し、コンフルエントに達するまで培養した。コンルフレントに達した後、コントロール、TGF-β1、CaCl_2、TGF-β1+CaCl_2をそれぞれ添加した群に分けて、10日から14日間さらに培養した。培養後、それぞれの群に於いて石灰化の程度を調べるためにアリザリン染色を行った。また、それぞれの群に於いてmRNAを抽出し、RT-PCRにて石灰化に必須のアルカリフォスフォターゼの活性を調べた。アリザリン染色の結果、CaCl_2・TGFβ1+CaCl_2を添加した物は強く染色されたが、コントロール、およびTGFβ1を添加した物は、ほとんど染色されなかった。さらに、アルカリフォスフォターゼの発現量に関しても、CaCl_2を添加した物が最も強く発現したのに対し、TGFβ1やCaCl_2+TGFβ1を添加した群ではアルカリフォルフォターゼの発現が抑制された。以上の結果から、TGF-β1はエナメル質形成過程を抑制することが明らかになった。上記内容を第85回生理学会大会(東京)にて発表した。
All 2008
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