Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
歯髄の潜在的硬組織形成能を検討する目的で,GFP発現ラット切歯歯髄を野生型ラット皮下へ他家移植し,移植後の硬組織形成を免疫組織化学的に観察した。移植7日後,多くの細胞を含有した石灰化硬組織が歯髄辺縁部に形成され,14日後には歯髄のほぼ全域に石灰化が進行した。この新生硬組織はオステオカルシン,オステオポンチンおよび骨シアロタンパクの免疫局在を示したが,象牙質シアロタンパクの局在は認められなかったため,骨に類似した特性を有していた。また,この硬組織表面に配列する細胞はGFPの陽性反応を示したことから,歯髄細胞は象牙質が含有するBMP等の成長因子が無くとも独自の誘導能で硬組織を形成し,骨に類似した硬組織を形成することが明らかとなった。 次に,周囲に既存の象牙質が存在する条件下における歯髄の硬組織形成能を検討した。GFPラット臼歯を野生型ラット抜歯窩へ再植すると,14日後以降,歯髄腔内に象牙質シアロタンパク陽性または陰性の象牙質様または骨様の硬組織が形成された。またGFPは,象牙質様組織表面の全ての細胞で陽性反応を示したが,骨様組織表面では陽性細胞と陰性細胞が混在していた。以上の結果より,歯髄の周囲に象牙質が存在する環境下では,歯髄細胞は象牙質または骨に類似した2種の硬組織を形成することが明らかとなった。さらに,歯髄組織は,外部から進入した間葉細胞を骨芽細胞様細胞へと分化誘導することが明らかとなった。 本研究より,歯髄細胞は象牙芽細胞のみならず骨芽細胞へと分化する能力を持つことが明らかとなった。従って,歯髄組織は硬組織誘導活性を持つ細胞および物質を有する組織として,再生工学における応用が期待される。
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