Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本年度申請者は、昨年度の交付金で得られた結果を踏まえRIG-Iの細菌刺激やウイルス感染刺激による発現を明らかにし、さらに口腔内の免疫機構における同遺伝子の役割について検討した。歯肉線維芽細胞を培養し、RIG-IcDNAを遺伝子導入した後、細胞よりRNAを回収し逆転写酵素を用いてcDNAを合成した。その後マイクロアレイによる解析の結果しぼり込まれた遺伝子をLight Cyclerを用いて定量RT-PCRによりmRNAの発現量について検討したところ、炎症性サイトカインであるIL-1β、IL-6とケモカインであるIL-8のmRNAに発現増強が認められた。また、RIG-IcDNAを歯肉線維芽細胞に遺伝子導入した後、培養上清中にLPSならびにpolyICを添加したところ、IL-1β、IL-6、IL-8mRNAの発現が相乗的に誘導された。次に、定量RT-PCRにおいて発現増強が確認された遺伝子に対して、western blottingならびにELISAを施行し、蛋白産生レベルにおいても産生増強が認められることを確認した。また、RIG-Iの細胞内局在を検索するためにRIG-IcDNAを遺伝子導入後、western blottingならびに共焦点レーザー顕微鏡を用いて検討を行ったところ、RIG-Iは歯肉線維芽細胞の細胞質内に発現していることが明らかとなった。以上の結果より、培養歯肉線維芽細胞においてRIG-Iは細胞質内でLPSならびにpolyICの認識機序の一部に関与し、IL-1β、IL-6、IL-8の発現に関与していることが明らかとなった。口腔内は細菌や二本鎖RNAウイルスも含めたウイルスが多量に存在している環境でありながら恒常性を保っており、口腔粘膜に特異的な免疫機構を有するものと推測されたが、この初期免疫応答においてRIG-Iは重要な役割を担っているものと示唆された。
All 2006
All Journal Article (1 results)
Oral Microbiol Immunol 21(6)
Pages: 399-406