Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
尋常性天庖瘡(PV)はその自己抗原蛋白であるデスモグレイン3(Dsg3)に対する抗Dsg3抗体により水庖が形成される。これまでに我々はPVモデルマウスより抗Dsg3モノクローナル抗体(AK mAb)を複数単離し、新たな病原性を評価する方法として抗原と抗体の結合カイネティクスに注目し、表面プラズモンセンサー(Biacore)を用いてAK mAbとマウスDsg3蛋白及びヒトDsg3との結合解離係数(K_D)を算出し解析を行った。その結果マウスDsg3に対するK_D値は1.38×10^<-8>から4.81×10^<-10>で個々のmAbは異なるアフィニティを有していたものの、AK mAbのIn vivoにおける病原性と明らかな相関は認めなかった。そこで次にヒトDsg3に対するKn値を測定したところ5.61×10^<-7>から2.55×10^<-10>と同様に異なるアフィニティを有し、さらにmAbの結合アフィニティはin vitro dissociation assayを用いて検討した病原性と相関関係を有する事が確認された。実際の天庖術自己抗体はポリクローナル抗体であり、複数のエピトープが異なる抗Dsg3抗体が結合していると考えられる。そこで本度は異なる手法で作製したPVモデルマウスより単離した抗Dsg3mAb(NAK mA b)を用いて解析を行った。その結果異なるエピトープを認識するNAK1 mAb、NAK2 mAb、NAK7 mAb、NAK11 mAbを続けてアナライトとしてinjectionしたところNAK1 mAbとエピトープの競合するNAK7 mAbの結合は見られなかったものの、その他のNAK mA bは同時にDsg3分子上に結合できることが確認された。この結果よりIn vivoにおいても異なるエピトープを認識するDsg3抗体がDsg3分子上に同時に結合し接着障害を誘導している可能性が考えられた。以上より、Biacoreを用いた結合カイネティクス解析は天庖療の水庖形成機序の解明に有用な方法であると考えられた。
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