Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
1年目の実験を継続した。すなわち,ラット・サイクロスポリンA(CSA)投与群と対照群との2群を用意し,実験開始8日,16日,30日に,各群から歯肉を含む下顎骨を採取した。ラットにはカルセインとテトラサイクリンを予め投与し骨標識マーカーとした。次にマイクロCTを用いて,下顎骨の骨梁構造を3次元的に分析し,非脱灰標本から蛍光顕微鏡で骨のラベリングラインを計測し,脱灰標本では骨周辺に現れる細胞動態を観察した。また,ラットの大腿骨骨髄組織から抽出したRNAからノーザンブロット分析を行い,各種の骨関連蛋白の発現を調べた。 その結果,マイクロCT分析からCSA投与群では対照群と比較して骨組織の吸収が亢進していることが3次元的に確認された。また,実験期間を通じて血中副甲状腺ホルモン(PTH)濃度やオステオカルシン(OCN)濃度が高く骨代謝が促進していることが示唆された。さらに,ノーザンブロット分析では,CSA投与群ではOCN,オステオポンチン(OPN),およびカテプシンKのmRNA発現が対照群より有意に増加していた。脱灰組織切片分析では,CSA投与群の骨辺縁には骨芽細胞と破骨細胞の数の増加が認められ,とくに16日目で著明であった。一方,カルセインとテトラサイクリンによる骨標識実験では,明確な結果が得られず今後の検討課題となった。 以上の結果から,CSA投与により高回転型の骨粗髪症類似の反応が誘導され,骨関連蛋白の誘導も亢進し結果的に骨吸収が起こるという病態が明らかとなった。これらの病態は,脛骨および歯槽骨で共通していた。また,上記の実験遂行に時間がかかり,当初予定したin situ hybridization実験が検討課題として残った。しかしながら,前半の実験結果については英語論文として形にすることができ,一応の実験成果を上げることができた。
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