Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本年度の研究は、オリジナルの骨膜細胞の微細構造と骨膜由来細胞スフェロイドの細胞の相違を超微細構造学的検索と免疫組織学的検索を行った。採取した骨膜を光学および電子顕微鏡で観察すると多くのコラーゲン線維が認められ、その間に種々の形状の細胞が散在していた。紡錘形で、細胞小器官が認められる細胞、立方形で核の占める割合が大きく細胞質中に多くの自由リボゾームを有している。この細胞は未分化細胞であると考えられる。スフェロイドを電子顕微鏡で観察すると、3日目では、最表層付近(表層)、スフェロイド中心部(深層)とこれらの間に位置する細胞中間部(中層)に区別される様になった。多くの細胞はこれら3層の部位に塊状となり存在していた。さらに各層間はコラーゲン線維で充満していた。深層部の細胞には多くの取り込み小胞や粗面小胞体、ゴルジ装置がよく発達していた。このことからコラーゲン合成は深層の細胞でもっとも活発であろうと考える。7日目ではスフェロイドは表層、中膚、深層の3層に明瞭に区別できるようになった。深層部の細胞ではミトコンドリアや細胞小器官等の変性像が認められた。これらの細胞は死滅していくものと考えられる。加えて、中眉と深層の間のコラーゲン線維層が3日目より厚くなった。中層の細胞では多くの取り込み小胞や粗面小胞体、ゴルジ装置がよく発達していた。このことはコラーゲン合成が深層の細胞より中層の細胞に移行したと考えられた。また表層の細胞は非常に扁平な細胞となり、細胞小器官の発達も認められなかった。すなわち、表層の細胞はコラーゲン線維を合成していないものと考えられた。免疫組織学的検索においてはオステオカルシン、オステオポンチン供に陰性反応であったが、21日間培養を行った場合では陽性反応が認められた。細胞活性が高い、3日目のスフェロイドを生体内に移植していくことに結論づけ、引き続き検索を行っていく所存である。