本校では自律学習の推進を図るため、平成28年よりSALC(Self-Access Learning Center)を設置し(1)アドバイジングの充実(学習カウンセリング)、(2)英会話、(3)図書室との連携、(4)デジタル教材の活用、の4つを柱とし、生徒の学習支援を行ってきている。そして本研究では(1)のアドバイジングを重点的に取り組んだ。SMARTゴールを活用しながら、生徒自らに短期目標を作成させ、振り返り活動をさせることで、生徒の学習習慣や学習意欲・学習方法にどのような変化をもたらすのかを検証した。その際に教師が問い掛けによるアドバイジングを行い、できるだけ学習者本人が発案したり、選択したりし、主体的に学べるよう留意した。これにより、教員主体となって計画がされている従来の授業とは異なり、学習者が自らの課題を設置し、主体的に学習が行われるようになった。また、漠然と「英語が話せるようになりたい」という目標から「1週間で船橋市の良いところを3つ言えるようにする。そのために毎日3分間帰宅後すぐにスピーチ練習をする。」というような具体的な目標設定ができるようになるなど目標設定の質の向上が顕著であった。同時に、学習習慣や学習に対する意欲の向上も見られた。だが一方で、事後アンケートによると、どのように学習をすれば良いのか分からないという生徒が依然として多く、自律学習者の育成においては目標設定の機会や学習教材の情報の提供だけでは不十分で、トレーニング方法等の情報提供の必要性があるということが本研究により明らかになった。 近年、大学の英語教育においては、自律学習を推進する動きが世界中で広がってきている。今後、日本の高校においてもそういった大学や専門機関と連携を取りながら自律した学習者を育成する教育を推進する必要があると考える。
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