Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 事前に適切なメタ認知的知識を教示することは適切なメタ認知的活動を促し, 科学的探究能力を向上させると考え, 本研究では, 考察場面に着目することにした。メタ認知的知識を教示する授業と, 他者との協働を支援するための授業を開発し, その効果について授業実践を通して評価することとした。 2. 研究方法 ①メタ認知を促進させるためには個人内の知識のレパートリーを増やすことが必要であるため, 考察場面で生徒が保持しているメタ認知的知識を調査した。調査は, KH Coderを用いて計量テキスト分析を行い, 分析のためのカテゴリー(コーディングスキーマ)を生成し, 分類を行った。 ②①を踏まえ, 考察場面における促進要因のメタ認知的知識, 阻害要因のメタ認知的知識を獲得させるための教示授業と, 協働的な問題解決を促すための支援授業を行い, 「科学的に結果を考察し, 論理的に説明する能力」の育成と検証を行った。検証は評価問題得点, 学業的援助要請尺度を用いた。 3. 研究成果 ①について, 考察場面のメタ認知的知識を分類した結果, 「自分の考えの変化に目を向ける」「自分の考えが正しいかもう一度考える」といったメタ認知的モニタリングに関する知識を教示することの必要性が明らかになった。それらを促進要因としてメタ認知的知識の教示に組み込んでいくこととした。 ②について, 考察場面においてメタ認知的知識の教示のみや協働的な学びの支援のみでは十分な成果が得られないが, 適切なメタ認知的知識を教示した上で, その知識を活用して他者と協働するための支援までを組み込んだ授業は, 学習者の考察のパフォーマンスを促進させる可能性が示唆された。また, メタ認知的知識の教示や協働支援といった教育介入は, 自律的援助要請型の学習者よりも依存的援助要請型に対してある一定の学習効果をもたらす可能性が示唆された。
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