○研究目的 動作法訓練会を通して、経験の浅い教師と動作法スーパーバイザー(以下、動作法SVと表記)との身体へのかかわり方の違いを比較検討し、経験の浅い教師が、身体接触を通したやりとりで、「子どもの身体状況を見立て、身体の動かし方を明確に伝え、子どもが能動的にリラックス状態になれる」ようになる指導のポイントの習熟過程を明らかにすることを本研究の目的とした。 ○研究方法 ①動作法訓練会(先進地)視察と研究の焦点化(4月~6月) ②動作法SVを招聘した訓練会実施(9月、3月) ③②結果の分析と研究のまとめ(11月~3月) ○研究成果 先進地視察において、動作法SVとその他の教員のかかわり方を観察した結果、子どもに触れる際、手に加える力に違いがあることが想定された。そこで、訓練会時に手による加圧する力の違いを分析した。 分析対象者 : 鳥取県内特別支援学校(肢体不自由)で勤務する教員。肢体不自由児のかかわりの平均年数は、男性教員3.8年。女性教員5.5年であった。いずれも日頃から子どもによく触れている教員であった。 方法 : ①SVが子どもとかかわっている場面(躯幹のひねり)の写真を分析対象教員に見せる。 ②SVがどれくらいの力で加圧をしているのかを想像し、測定器を同じ力で押すように指示する。 ③分析対象者それぞれの測定器に加えた力を記録し分析した 結果 : ①男性教員の加えた力の平均は、467gであった。一方、女性教員の加えた力の平均は1977gであった。(SVが実際に加えた力は、300gであった。) 考察 : SVがどれくらいの力で子どもにアプローチしているのかについて、性別によって大きく違いがあることが分かった。つまり、どれくらいの力をかけるのか、SVの指導を見ただけでは伝わりにくいと言える。動作法の指導のポイントの習熟過程において、加圧のレベルを初級レベルの教員にいかに伝えていくのか、今後の課題としたい。
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