黒曜石を焼いて観る~発泡組織の違いは噴火過程の何を反映するのか?~
Project/Area Number |
17H00319
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
地球惑星科学・地学
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Research Institution | 遠軽町役場 白滝ジオパーク |
Principal Investigator |
佐野 恭平 遠軽町役場 白滝ジオパーク, ジオパーク推進課, 技師
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Project Period (FY) |
2017
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2017)
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Budget Amount *help |
¥550,000 (Direct Cost: ¥550,000)
Fiscal Year 2017: ¥550,000 (Direct Cost: ¥550,000)
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Keywords | 黒曜石 / 溶岩内部構造 / 発泡実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
高粘性マグマ噴火によって形成される黒曜石は、その大部分(>98 vol%)がガラスで構成され、~0.5w.%程度のH_2Oを含むという特徴を持つ。黒曜石は高温で加熱することで多孔質物質(パーライト)に変化することが知られている。黒曜石の加熱実験については、和田ほか(2016JpGU)が、異なる産地の黒曜石溶岩試料について, 含水量と発泡開始温度が負の相関を持つことを報告した。しかしながら、一枚の溶岩から採取した試料の発泡組織や形態の多様性と、溶岩の構造との関係については明らかにされていなかった。本研究では、北海道遠軽町白滝地域で220万年前に噴出した十勝石沢溶岩および幌加湧別溶岩の黒曜石試料を対象に加熱実験を行い、パーライトの組織、形態及び発泡開始温度と溶岩構造との関係を調べた。 十勝石沢溶岩および幌加湧別溶岩では、溶岩下部に厚さ7m程度の黒曜石帯、その上部に数10~100m程度の流紋岩帯を観察することができる。本研究では黒曜石帯の下部から上部に向かって2m間隔で試料を採取し、実験を行った。加熱実験は以下の手順で行った。はじめに黒曜石試料を一辺が10mmの立方体に成形した。成形した黒曜石はNabertherm社製マッフル炉(L1/12型)を使用し、十勝石沢溶岩の試料については800~1000℃、幌加湯別溶岩の試料については950~1150℃の温度で30分間加熱した。 実験の結果、幌加湧別溶岩では溶岩下部の試料は1000℃で発泡組織が確認できるのに対し、溶岩上部に向かって発泡開始温度が増大し、黒曜石帯最上部の試料では1100℃で発泡することが明らかとなった。一方で、十勝石沢溶岩の試料では溶岩下部から上部にかけての発泡開始温度の違いは見られなかったが、溶岩上部ほど試料の変形が進行し、幅3mm程度のクラックが発達する傾向が確認できた。 幌加湧別溶岩の発泡組織の発泡度、気泡サイズ及び単位面責あたりの気泡数(気泡数密度)を計測した。その結果、発泡度は25~93%、平均的な長さが0.5~3.1mm、数密度が0.2~2.8/mm^2の範囲であったが、溶岩の内部構造と発泡組織との間に相関関係は認められなかった。 以上より、黒曜石溶岩中の内部構造とパーライトの発泡開始温度及びパーライトの形態には相関が認められ、これらは黒曜石溶岩中の含水量分布と結晶組織の違いを反映していると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
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