Outline of Annual Research Achievements |
[1] 研究目的 平板から立体形状を成形する曲げ加工は金属プレス加工分野を支える中心技術の一つである. 近年では, 曲げ半径や曲げ角度等の高精度化が要求されており, 被加工材の曲げ特性に関する詳細な知見が求められている. 軽量・高比強度といった特徴を有するMg系合金は構造材料への適用が期待されているが, 室温での成型性が悪く温間での加工に限定される. このことから, 温間での曲げ特性に対する力学試験データの蓄積が重要となる. 温間曲げ試験の実施には恒温槽付き万能試験機が用いられる. しかしながら, 市販の恒温槽は高コストかつ広い設置スペースが必要であり, この点が温間試験の敷居を高くする要因となっている. 本研究では, 万能試験機に容易に脱着できる恒温槽の開発とその精度検証を行い, 上記の問題点を克服した温間曲げ試験法の開発を行う. [2] 実施内容 (a)低コスト・省スペースを実現する恒温槽の開発 万能試験機に容易に設置できる容器付きの台座を作製し, 内部に曲げ試験治具を設置した. 容器内にシリコン油を充填させてヒーターで加熱することで, 最大300℃までの曲げ試験ができる恒温槽を開発した. (b)開発した恒温槽における温度精度の検証 油温を200℃に設定したうえで, 各試験片(鋼, アルミ, 銅板)を容器内に設置し, 試験片温度と経過時間について調査を実施した. [3] 研究成果 全試験結果ともに, 油内に試験片を設置してから1分程度で試験片が設定温度に到達することが確認された. 10分間の計測における温度変化の推移は設定温度から±2℃の範囲内であった. 市販恒温槽の温度誤差は±1.5℃から±5℃の範囲であることから, 本研究で開発した恒温槽は市販製品と同等の性能を有することがわかった. 本恒温槽を万能試験機に設置することで, 低コスト・省スペース・高精度の温間曲げ試験が可能となり, これまでの問題を克服した温間曲げ試験法の開発に成功した.
|