胃癌化学療法による治療開始後の好中球/リンパ球比を変動させる因子の探索
Project/Area Number |
17H00492
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅱ
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奈良 克彦 東京大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2017
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2017)
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Budget Amount *help |
¥550,000 (Direct Cost: ¥550,000)
Fiscal Year 2017: ¥550,000 (Direct Cost: ¥550,000)
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Keywords | 骨髄抑制 / 生存期間 / 組織学的効果判定基準 |
Outline of Annual Research Achievements |
2008年4月~2015年12月までに東京大学医学部附属病院に入院し、進行・再発胃癌に対してS-1+シスプラチン併用療法(以下、SP療法)を受けた患者を対象とした。その患者群の中でSP療法実施期間内の血算検査において、好中球数<2000/μL、または血小板数<100,000/μLまで低下した症例を血液毒性群と定義し、非血液毒性群と比較して無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効率、組織学的効果判定基準の比較を行った。なお、組織学的効果判定基準は胃癌取扱い規約に従い、Grade0-1aとGrade1b-3の2群に分類し、Grade 0-1aは無効、Grade 1b-3を有効と定義した。除外基準としては術後補助化学療法終了後6ヶ月未満の早期再発症例、治療開始前の血液検査で好中球数2000/μL未満、または血小板数100,000/μL未満の症例、ステロイド内服症例、薬剤性アレルギーが出現した症例とした。 同期間中にSP療法を施行された患者207名のうち、除外基準に該当した26名を除く181名を調査対象患者とした。術前補助化学療法(NAC)施行患者11名を除く切除不能進行再発胃癌患者170名(血液毒性有142名、無28名)を対象として血液毒性と予後の検討を行ったところ、生存期間は血液毒性群で有意に良好であった(PFS、7.3ヶ月vs 3.8ヶ月、P<0.01 ; OS、17.3ヶ月 vs 12.6ヶ月、P<0.01)。次に、奏効率(90名)、組織学的効果判定基準(NAC 11名、Conversion 20名)と血液毒性の関連性について検討を行い、その結果、血液毒性群で有意に良好であった(奏効率、43.1% vs 10%、P<0.01、組織学的効果判定基準、80.0% vs 18.2%、P<0.01)。さらに、血液毒性と粘膜障害について検討したところ、血液毒性を認めた群ではGrade2以上の粘膜障害発現を認めた。 これらの結果から血液毒性はSP療法の良好な予後予測因子になる可能性が示唆され、生存期間の延長に寄与することが新たに明らかとなった。さらに、骨髄抑制群では転移巣、原発巣に対しての奏効率も有意に良好であり、効果予測因子になる可能性も示唆された。そのため、今後は生化学検査後残血清を用いて、血中濃度と毒性、効果が相関するかさらに検討を重ねていく。 なお、本研究の成果は、第27回医療薬学会年会にて口頭発表(優秀演題賞を受賞)された。
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Report
(1 results)
Research Products
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