精神疾患の環境的要因曝露における発症機序の解明および新規治療薬の選定
Project/Area Number |
17H00512
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅲ-A
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
肥田 裕丈 名古屋大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2017
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2017)
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Budget Amount *help |
¥550,000 (Direct Cost: ¥550,000)
Fiscal Year 2017: ¥550,000 (Direct Cost: ¥550,000)
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Keywords | プロスタグランジンE2 / モデル動物 / 神経発達異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的: 本研究は、神経発達障害仮説に基づいた精神疾患の発症機序の解明を目的とした。すなわち、精神疾患、特に統合失調症の発症には、遺伝的要因や胎生期/周産期の環境的要因によって神経-グリア細胞や神経回路網の発達障害が関与している。先行研究において申請者は、発症脆弱性の形成機序に関与する共通因子として可能性の高いprostaglandin E2(PGE2)-EP1受容体シグナル伝達系に注目し、新生仔期におけるPGE2-EP1受容体シグナル伝達系の亢進は、成体期における精神機能異常に関与することを見出している。研究期間においては、PGE2-EP1受容体シグナル伝達系亢進による神経形態学的機能へ与える影響を検討し、精神機能異常の発現する機序解明を目指した。 研究方法・成果: 新生仔期(生後2日から5日間)におけるPGE2(10mg/kg sc)暴露による脳神経機能、および胎生期(E17.5)の初代海馬神経細胞におけるPGE2(10 μM)による神経発達への影響について検討した。その結果、新生児期PGE2投与マウスでは、溶媒投与マウスと比較して、成体期(生後10週齢)の前頭前皮質におけるドパミンの代謝回転が有意に低下していたが、セロトニンおよびノルアドレナリンの代謝回転に影響はなかった。海馬、側坐核や線条体には何ら影響はなかった。一方、初代海馬神経細胞の突起伸長は、PGE2添加によって濃度依存的に抑制された。したがって、PGE2は前頭前皮質におけるドパミン作動性神経機能を低下させ、神経発達を抑制することが示唆された。PGE2-EP1受容体シグナル伝達系に注目し、従来の抗精神病薬とは作用機序が異なる分子を標的とした新しい予防法および治療法となる可能性を見出した。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Juvenile social defeat stress exposure persistently impairs social behaviors and neurogenesis.2018
Author(s)
Mouri A, Ukai M, Uchida M, Hasegawa S, Taniguchi M, Ito T, Hida H, Yoshimi A, Yamada K, Kunimoto S, Ozaki N, Nabeshima T, Noda Y.
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Journal Title
Neuropharmacology.
Volume: 133
Pages: 23-37
DOI
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Peer Reviewed / Open Access