Outline of Annual Research Achievements |
検体の色相、明度、彩度を測定するための検証のためアルギン酸ナトリウムを用いた人工的に着色させた検証では分光測色計による色彩法では有意差のある数値化が可能であった。実際に超音波内視鏡下で採取された検体では色彩法による有意差を見出すことはできなかった。これは採取時に使用する穿刺針が19~25Gと複数種類あること、採取される組織成分にそれぞれ固有の硬度があるため同一の厚さで測定ができなかったこと、病変部組織中にある赤血球含有割合で差異が生じる可能性があることが考えられた。今回検討した膵癌、神経内分泌腫瘍、消化管粘膜腫瘍において、膵癌では症例によって細胞量、標本で確認できる細胞成分や背景所見(粘液、壊死物質や炎症細胞など)が多種多様であったため、R, G, B含有割合に一定の規則性を見出すことができなかった。しかし、神経内分泌腫瘍 : 6症例、消化管粘膜下腫瘍(GIST : 10症例、Leiomyoma : 5症例)ではG, B含有割合が神経内分泌腫瘍Ave(%)B : G=30.33 : 42.28、GIST Ave(%)B : G=28.15 : 41.93、Leiomyoma Ave(%)B : G=30.09 : 37.98と症例数は少ないが一定の規則性を示唆するデータを得た。この時、同時に確認した標本はいずれも一様の細胞成分を認めた。本研究では疾患別の有用なデータを得ることはできなかった。主観ではあるが肉眼的所見では神経内分泌腫瘍と消化管内分泌腫瘍には明らかに検体色調に差異を認める。このことから検証のための検体条件(穿刺針の太さ、検体硬度等)や撮影時条件(暗室、光源照射位置等)を一定に保ち、一様の細胞像を示す疾患であれば鑑別可能であると考える。今後、可視光による検体特徴の検証だけでなく他の検査媒体を用いることでより詳細な情報を得ることが可能と考える。また現在の被検体を個体から細胞浮遊液など成分を分解させることでノイズとなる病変部細胞以外の成分を除去することができ、より検出感度向上が期待できると考える。
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