Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
北村季吟(1625-1705)は近世(江戸時代)前期の古典学者であり、『源氏物語湖月抄』などの著名な注釈書を公刊した人物である。季吟の注釈書は近世期を通じて、明治時代に至るまで広く流布しており、賀茂真淵(1697-1769)や本居宣長(1730-1801)のような著名な国学者も、季吟の注釈書に多数の書き入れをしていたことが知られている。このように、季吟の古典学の結実である注釈書は、近世期から近現代に至るまでの長期間、京都・江戸から地方までの広範囲に流布し、後世の古典理解の基礎となった。また、季吟は晩年、徳川綱吉によって江戸幕府の初代歌学方に任ぜられた。以降、北村家が歌学方を世襲し、江戸における歌学・古典学の重鎮となる。以上のような点に大きな研究上の意義が認められる。本研究では、季吟に所縁の各家に現存する資料の全容の解明と目録作成を行い、画像とあわせた公開を行うとともに、各家に伝わる学界未紹介資料を中心に、全国の史資料を博捜することにより、季吟以降の北村家の伝記的事実を明らかにすることが目的である。また、その検討を通して、近世期を通じて幕府歌学方を襲った北村家の発展継承の様相について考察し、幕府における歌学方や北村家後裔の新たな像を提示することを目指した。ただし、2年度の期間のうち、平成30年度は特別研究員奨励費との重複のために辞退となり、実質的には約半年間の研究期間となったため、多くの課題は持ち越しとなった。本期間には、各家との調査方針・実施時期等の調整、関係諸機関における受入等についての計画の策定、調査・整理に必要な物品・機材の選定を行い、次年度以降の調査への用意を行った。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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