Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
プラズマ中の炭化水素ガス分解を利用した水素生成法に注目し、分解した水素の生成・回収効率の飛躍的な向上を目指すため、プラズマ-容器壁複合系における、プラズマ中の原子・分子過程と容器壁での水素の表面過程の総合的な理解を目的とした。プラズマ中のメタンの分解に関わる原子・分子過程を、モンテカルロ法で計算するシミュレーションを行った。プラズマ中の電子と炭化水素分子の多くの衝突過程(解離、励起、電離など)を考慮に入れるため、それらの衝突断面積データを用いて、実験プラズマ条件と容器壁を考慮に入れたシミュレーションコードを作成した。シミュレーションの結果、九州大学の高周波プラズマ装置(電子温度30 eV、電子密度5×10^18 m^-3)で、導入するメタンの約63%が炭素原子まで完全に分解することが分かり、メタン分解反応の中でも電子衝突による解離が支配的であることが明らかとなった。また、高効率な水素生成のために最適なプラズマ条件の抽出も行い、分解率を90%以上に保つには、プラズマ条件として電子温度10 eV以上、電子密度10^19 m^-3以上が必要であり、プラズマ容器内の真空度は170 Pa程度(ロータリーポンプ程度)で十分であることを示した。また、容器壁表面での炭素の堆積位置をシミュレーション結果と先行研究の実験結果で比較した結果、水素プラズマによるスパッタリングが大きな影響を与えていた。このことから、水素プラズマ放電領域中に水素回収用の透過膜を設置すれば、炭素堆積を防ぎつつ高効率に水素を回収できる可能性が示唆された。さらに、実機での高周波プラズマ生成実験、プラズマ照射装置による材料表面の水素吸収・再放出実験も行い、これらの研究からプラズマ中のメタン分解の原子・分子過程と容器表面過程の総合的理解が進み、それに基づいた高効率な水素生成・回収のための装置の基本設計案を示すことができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2017
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (1 results)
Nuclear Materials and Energy
Volume: 13 Pages: 58-62
10.1016/j.nme.2017.07.006