血中タンパク質AIMの活性化メカニズムの解明とそれを用いた疾患の新規治療法開発
Project/Area Number |
17J03519
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Pathological medical chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 智子 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2018)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2018: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2017: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | NASH / HTS |
Outline of Annual Research Achievements |
AIMはマクロファージにより産生分泌される血中タンパク質である。健常時は、AIMはIgM五量体に結合し、AIM自体の機能は不活性化されている。しかし、非アルコール性脂肪肝性肝炎(NASH)や急性腎障害(AKI)をはじめとする特定の疾患時には、IgMからAIMが解離し活性化し、AIMのもつ疾患治療効果を発揮する。本年は以下の研究を行った。 ①NASH患者におけるAIMの活性化に関する解析ではNAFL、NASH、NASH由来肝癌の患者血清中の活性化AIMを測定した。その結果、NASH由来肝癌患者では、健常人やNAFL、NASH患者と比較し、有意に血中活性化AIM濃度が高値をしめした。また、肝癌診断マーカーとしての有用性を検討したところ、感度88.5%、特異度86%と、既存のウイルス性肝癌マーカーであるAlphafeto. ProteinやPIVKA-IIよりも有用性が高いことが示された。この結果は、筆頭著者として、2017年にJ Gastroenterolに論文発表した。 ②AKI時にAIMを活性化させる生理的活性化物質の探索では、AKI時に血中濃度が上昇しているタンパク質を調べ、それらのタンパク質について順次クローニングし、動物細胞HEK293T細胞へ強制発現させたのち精製し、ウェスタンブロッティング法にてAIMのIgMからの解離について判定を行った。その結果、数種類のタンパク質について弱いながらAIM活性化作用を認めた。 ③AIM活性化作用をもつ低分子の探索では、活性化AIM(IgMから解離したAIM)のみを検出するハイスループットスクリーニング系であるHomogeneous Time-Resolved FRET (HTRF)を構築した。東京大学薬学部創薬機構が所有する低分子ライブラリーの約20万個の低分子について網羅的なスクリーニングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
『AIMを活性化する物質』について、非アルコール性脂肪肝患者検体を用いた臨床研究、急性腎障害時に作用する生理的活性化物質、AIM活性化能を持つ低分子化合物のライブラリースクリーニングと、大変広い幅で研究を行った。その都度必要とされる知識や技術が異なるが、常に勉強をし、研究の遂行に努めた。 さらに、いずれの研究も大きな進展が認められる。中でも、臨床研究については、筆頭著者として論文及びshort reviewを発表している。また、日本肝臓学会やアメリカ肝臓学会、酸化ストレスと肝研究会における発表では、その反響の大きさから、インパクトのある研究結果を残すことができていると感じている。他の2つの研究についてもそれぞれ完成に近づいている。生理的AIM活性化因子の同定と、AIM活性化作用をもつ低分子の探索では、共に同定に向けた候補物質の絞り込みが進んでいる。 以上のことから、本年の進捗は期待以上であったと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、AIMをIgMから解離させる(AIMを活性化させる)物質の同定を予定している。AIMを活性化する物質は、実際の疾患時に誘導される生理的AIM活性化因子と、低分子ライブラリーから探索している低分子、以上の2種である。 生理的AIM活性化因子は、プロテオーム解析、網羅的RNA解析から、候補たんぱく質を多数同定しており、順次タンパク質をクローニングしそれぞれのAIM活性化能力をvitroのアッセイ系で検証を行う。また、候補タンパク質が幾つか絞られた時点で、それぞれのタンパク質を欠損させるマウスにAKIモデルを誘導し、AIMが活性化しないか確かめる。 AIM活性化作用を持つ低分子の同定については、HTRFによりAIM活性化作用が認められた低分子についてELISAやウエスタンブロッティング法といった別の系で検証することで、再現性を確認する。その後は、ヒット低分子の構造展開を行い、実際にAIMを活性化する部位や構造の特定を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)