Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
これまでの実験から、Cre-loxPシステムにより破骨細胞特異的にL型中性アミノ酸トランスポーターLAT1を欠損させた遺伝子改変マウス(Slc7a5欠損マウス)は、大腿骨と脊椎における骨量の減少および破骨細胞の活性化を示すことが明らかとなった。このマウスにアミノ酸感受性セリンスレオニンキナーゼであるmTOR Complex 1 (mTORC1)のサプレッサーとして知られているTsc1遺伝子のヘテロ欠損を導入したところ、Slc7a5欠損マウスで認められた表現型が回復することが示された。以上のことから、破骨細胞に発現するLAT1はmTORC1を介して破骨細胞の機能制御に関与していると考えられたが、そのメカニズムについては明らかになっていなかった。そこで、令和元年度はin vitro実験により、そのメカニズムを解明することを目指した。Slc7a5flox/floxマウス由来の破骨前駆細胞にCreを発現するレトロウイルスを導入した後、破骨細胞分化誘導因子RANKL曝露による分化誘導を行った。empty vector導入群と比較したところ、成熟破骨細胞への分化が亢進することが分かった。我々はLAT1が破骨細胞の分化調節に関与していると考え、破骨細胞分化に必須の転写調節因子NFATc1の細胞質内および核内発現量を解析した。その結果、Slc7a5欠損細胞において、両者のNFATc1発現量が上昇していることが示された。詳細なメカニズムを調べたところ、Slc7a5欠損細胞ではmTORC1下流のリン酸化酵素Aktの活性化と、それに伴うGSK-3βの不活性化を介してNFATc1の核内移行が促進される可能性を見出した。さらに、転写調節因子NF-κBの核内移行がSlc7a5欠損細胞において促進されていることを示した。以上2種の経路によりLAT1が破骨細胞の分化調節に関与している可能性が示唆された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2019
All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results)
Science Signaling
Volume: 12 Issue: 589 Pages: 589-589
10.1126/scisignal.aaw3921