Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高次元構造かつ高スピン状態を示す金属-ラジカル錯体の開発を目的とする。一般に、非磁性な有機物や無機イオンを配位子とする分子性磁石は分子内のスピン間相互作用が弱く、磁気相転移温度の向上の課題であった。本研究では、常磁性の配位子を利用することに着目し、金属イオン間に強い交換相互作用を導入することができる。また、常磁性配位子の分子構造を調整することで、結晶全体の構造を制御することができるため、従来に比べて高い磁気密度および高温での相転移の発現が期待される。 本年度は、昨年度に新奇開発したテルピリジン型ビラジカル化合物とその前駆体 (非磁性) を用いて様々な金属錯体 (Cr(III), Co(II), Cu(II)とZn(II)イオン) を合成し、磁性の評価を行った。磁気測定より、Cr錯体では強磁性的、CoおよびCu錯体では反強磁性的な分子内相互作用が観測された。これら実験結果と分子構造および磁性軌道から予想されるスピン配列に矛盾はない。また、Co(II)イオンを用いた錯体は温度変化に伴うスピン状態の可逆的な変化 (SCO現象) は期待できる。これは想定する4f-3d-2p系錯体に外場応答性を付与する。ビラジカルおよびその前駆体を配位子とする2つのコバルト錯体は双方共に非共有結合性の分子間接触を利用した2次元構造を示した。常磁性配位子を用いたCo錯体では、SCO現象に加えて分子内磁気的相互作用も発現しており、観測する温度領域によってスピン状態が複雑に移り変わる系であった。これは当初の期待通り、外場応答性を示す4f-3d-2p系錯体の構築に繋がる。また、今年度は新奇に配位可能なラジカル部位を複数有したトリおよびヘキサラジカルの合成に成功した。これらは特異な分子構造 (スピロ骨格) を有しており、本研究の目的とする高次元構造を与える常磁性配位子として有望である。
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