Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2018: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は, 前年度に引き続き, (i) Fe(Se, Te) などの鉄系高温超伝導で実現されるトポロジカル超伝導状態および (ii)逆ペロブスカイト酸化物で実現する高次スピン電子系のトポロジカル超伝導の研究を遂行した. 以下にそれぞれの概要を述べる. (i) 本研究ではこれまでに, 鉄系高温超伝導体Fe(Se, Te) について実験グループとの協力のもとで研究してきた. そして, Fe とカルコゲンに由来するd軌道とp軌道の対形成によってトポロジカル超伝導が実現することを明らかにしてきた. 本年度はさらに, 対称性の観点からこの物質における可能なトポロジカル超伝導相を網羅的に調べた. 具体的には, この物質で可能な最近接サイト間クーパー対によるギャップ関数32種を全て数えあげ, この物質が属する空間群P4/nmm の既約表現を用いて整理した. そして, B_{1u} 表現とB_{2u} 表現で記述される超伝導状態が熱力学的に安定であることを明らかにした. さらにこの超伝導では, 結晶に対する表面の方向, 超伝導状態の既約表現によって異なる, 多様な表面状態が現れることが判明した. そして, 得られたそれぞれの表面状態の起源となるトポロジカル数を同定した. 実験グループとの共同研究の結果は本年度, 誌上掲載された. さらに, 対称性やトポロジカル指数などの包括的な議論について, 理論の論文として独立にまとめている段階であり, 近日投稿する予定である. (ii) 高次スピン電子系の超伝導に関しては, 3次元巻付き数に関する定式化を再検討し, 議論をより精密化した. また超伝導転移温度を見積もる際に, フェルミ面における状態密度の変化を取り入れることで, より正確な解析を可能にした. また本年度, 本成果をまとめた論文を誌上発表した.
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