地誌から見た東北諸藩における領国認識の形成過程に関する新研究
Project/Area Number |
17K02442
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Research Field |
Japanese literature
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
志立 正知 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (70248722)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2018: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2017: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 地誌 / 系譜言説 / 北東北諸藩 / 歴史認識 / 東北諸藩 / 和歌と歌枕 / 文学と歴史認識形成 / 領国認識と地誌 / 地域伝承 / 古典文学 / 近世地誌 / 地域の歴史認識形成 / 文学と歴史 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ感染予防のために遅れていた弘前市立図書館の資料調査を行い、『津軽家譜草案』他の撮影を行った。 この資料は、第五代藩主津軽信寿の命によって編纂された官撰史書『津軽一統志』に至る藩の歴史認識・系譜言説形成期にあたる第四代藩主津軽信政の自筆といわれる資料の写本で、津軽藩における系譜言説・歴史認識の形成過程、地誌との関係を解明する上で極めて重要な意味を持つ。津軽藩の系譜言説の起点は、『寛永諸家系図伝』の初代政信の項に、「家伝曰、為近衛殿後法成寺尚通之猶子故称藤原氏 未詳其実」と記された点にある。これは『系図伝』閣本によれば、津軽藩が政信を近衛尚通の実子(庶子)として申告した事に対して、幕府側が疑義を呈し、近衛信尋からの書状に猶子とあることをもって決着させた結果であった。これによって、津軽氏は藤原姓を認められたが、それ以降津軽藩では、寛永四年の弘前城火災によって失われた史料・文書を補うべく修史活動を本格化させていく。寛文年間には、重臣高屋浄久から津軽氏を南部の庶流とする系譜書上が提出され、これを否定すべく津軽氏側でからは信政の弟可足による『可足権僧正筆記』で、祖先を奥州藤原氏二代基衡の次男津軽左衛門佐秀栄を祖とする系譜が提出されたことはよく知られている。ところが、前記『津軽家譜草案』には、高屋浄久書上が引用され、政信よりも前四代家光・家信・光信・盛信を源氏とする系図が提示されている。一方、『津軽一統志』では、光信を初代として、代々藤氏であったと主張しつつも、荒唐無稽とされる『可足権僧正筆記』の主張の多くは取り込まれない。『一統志』首巻の地誌の記事との関連性などに注目することで、こうした系譜言説の形成過程が明らかに出来る。 上記については、2023年度に公表予定の報告書に掲載する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染予防のための制限により、資料調査がかなり遅れていたが、2023年にはいってから、ようやく調査再開の目処が立った。なお、すでに収集済みの資料(『可足権僧正筆記』『津軽家譜草案』『東日流由来記』等)については、翻字作業を進めており、特に重要と思われるものについては、報告書への掲載準備を進めており、最終年度となる2023年度には、遅れを挽回できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り、2023年度中にこれまでの研究成果をまとめ、一部資料の翻刻とともに、報告書を刊行する準備を進めている。若干の遅れはあるが、研究計画書記載の目的を一定程度達成できる考えている。
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Report
(6 results)
Research Products
(10 results)
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[Journal Article] 『源平盛衰記』全釈(一三―巻四―3)2018
Author(s)
早川 厚一 , 曽我 良成 , 近藤 泉 , 村井 宏栄 , 橋本 正俊 , 志立 正知
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Journal Title
名古屋学院大学論集 人文・自然科学篇第54巻 第2号 (2018)
Volume: 54(2)
Pages: 59-140
NAID
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Open Access
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