人口減少社会におけるサービス保障の契約手法-英・コミッショニングの法的研究
Project/Area Number |
17K03407
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Research Field |
Social law
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
国京 則幸 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (10303520)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2018: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2017: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | NHSでの産科医療 / NHSでの妊娠中絶 / コミッショニング / 公衆衛生 / 社会的処方 / 地域包括ケア / 地域ケア会議 / 地域包括支援センター / 契約 / 地方自治体 / 保健福祉局 / NHSFT / NHS / ファウンデーショントラスト / 病院 / イギリス / 医療保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、イギリスの産科医療について検討を進めた。医療の中でも特に、産科、精神科、歯科の提供については、これら医療の特質から、一般医療とは異なる部分があるとされており、これら医療でのコミッショニングについて把握するため、具体的には、NHSにおける出産の提供枠組みと、さらに、妊娠中絶にかかる法と倫理という点について、日本との比較を交えながら検討を行った(研究成果の一部については、静岡県母体保護法指定医研修会にて報告)。 周産期医療および出産については、助産師の果たす役割が大きい(助産師:約48%、病院医:約42%)という点以外は、一般医療とほぼ同じようにNHSの下で提供されていることが分かった(無料の出産+処方箋薬の費用負担免除)。また、日本との比較で言えば、提供されているサービス内容そのものはほぼ同じであるものの、妊娠出産時の権利と法についての啓発がチャリティーによって盛んに行われている点などの相違も改めて確認できた。他方、人工妊娠中絶については、堕胎罪を前提に違法性阻却の法的枠組みがある点は日本と類似しているものの、その制度・運用と論理は大きく様相が異なっていることが分かった。まず、妊娠中絶はNHSのサービスとして(=無料)実施されている(日本では基本的に保険適用外)他、実施機関として各種チャリティーが重要な役割をはたしている点、また、2人の医師が法律の規定に照らして判断を行う(ただし、医師には良心的拒否権がある)という手続き(cf. 日:配偶者の同意)やコロナ禍を経て、処方された薬剤により自宅で自身により実施可能となっている点(実施方法)などである。 また、これらイギリスの産科医療の他、日本の問題状況の把握として、貧困や孤立・孤独といった点についての検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、学内での教育負担の変化(増加)に加え、「医療保険制度の史的検証と改革案提言に向けた基盤研究-健保法制定100年を契機に」(基盤研究(B)代表:片桐由喜)の研究分担による、日本社会保障法学会第77回大会「健康保険法制定100周年記念企画:医療保険制度の過去を顧みて、現在を問い、未来を望む」大シンポジウム報告(「医療保険の適用者」)、「ソーシャルワークの法理論の構築-支援関係を軸とした社会保障法学の再構成」(基盤研究(B)代表:西村淳)の研究分担者としての研究実施、さらに本研究の延長上の課題として新たに獲得した「『社会的処方』の法的研究-地域における医療と福祉の新しい連携モデルの構築のために」(基盤研究(C)代表:国京則幸)による渡英調査、静岡大学プロジェクト研究所「人口動態と就労環境研究所」(代表:荻野達史)「イギリスにおける若者の就業支援をめぐる議論と制度の紹介」報告など、これまでなかなか進まなかったものを一挙に進めねばならなくなったことから、当該研究については、思うように進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
延長期間で、コロナ後のイギリスにおける医療提供体制の改正・変更を改めて把握・理解する必要が生じた。この間に医療-中央政府-医療のコミッショニング、福祉-地方自治体-福祉のコミッショニングという図式は大きく変化しており、コミッショニングの主体やその内容を改めて把握しなければならなくなっている。そこで、改めてこの点の把握と検討を行う。また、日本での地域包括ケアシステムの状況についても、委員として情報を得られることができる静岡市の状況などを踏まえ、さらに調査と検討を進めていくことにする。これらを踏まえて日英の比較検討を行い、研究をまとめる。
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Report
(6 results)
Research Products
(3 results)