Project/Area Number |
17K04425
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Research Field |
Clinical psychology
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
梶原 和美 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (40243860)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2017)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2018: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 社会系心理学 / 臨床心理学 / 関係性 / 医療コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,臨床心理学の観点から医療コミュニケーション教育を検討し,新たな方法論を提示することである。 本年度はまず予備的研究として,これまで収集してきた歯科医師および歯学部生に対する自由記述式質問紙調査のデータを質的に分析し,歯科医療関係者が「心」や「治療者-患者関係」に関して有する素朴な概念の構造を検討した。 その結果,歯科医師が患者の「心」に対して何らかの手当てが必要だと感じた状況の多くが,治療者-患者関係の中で体験される難しさ(「コミュニケーションに対する不全感」「治療に対する認知のズレへのコントロール不能感」)と,患者のパーソナリティ理解に基づく対応の難しさに関連していることが示された。また歯科医師が「心への手当て」として実行していることは,「説明する」「傾聴する」「患者の意向を尊重する」「苦痛を与えないよう配慮する」などであった。 学生から得られた「心」に関する自由連想記述をKJ法を用いて分類したところ,「奥底にある豊かな意味」「精神病理の原因追求への手がかり」「今,ここでの体験への気づき」「他者の心の不可侵性」の4群に大別され,学生によって優勢なイメージが異なっていることが示された。 以上の検討を通して,医療コミュニケーション教育の実施にあたって重視すべき観点は,①「心」が喚起する多様なイメージを尊重しつつ,②異なるイメージをもつ学生同士の対話を通して,③他者および自己とのコミュニケーションを生き生きと体験できる機会を提供することであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究は,これまで蓄積してきた20年分の自由記述データをあらためて分類し,「心」に関するイメージや素朴概念の構造を同定し,その経年的変化を明らかにすることを第一の目的として開始した。当初,臨床実習開始前の共用試験CBT(Computer Based Testing)・OSCE(Objective Structured Clinical Examination)の導入による教育目標の改訂に伴い,学生側の認識にも変化がみられると予想していたが,「心」に関する素朴概念やイメージのありようには特記すべき違いを抽出することはできなかった。そのため自由記述式の質問紙調査における課題の提示方法を再検討する必要があり,今年度は試行的なレポート提出を課す中で,記述内容の変化を確認する作業に長時間携わることになった。そのため,本年度の第二の目的であった「心」に関する素朴概念を把握する尺度の作成とその妥当性・信頼性の検討には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)本年度に引き続き,「心」に関する素朴概念を把握するための自由記述式質問紙調査を,教示方法に注意しながら実施し,各学生に優勢な概念を把握できる尺度を作成し,その妥当性と信頼性を検討する。 (2)臨床経験を通して「心」に関するイメージにどのような変化が起こったか(起こらなかった)を問う自由記述式質問紙調査を実施する。 (3)口腔心身症の治療に従事する歯科医師を対象として,「日常の診療で困難を感じる状況」に関する半構造化面接を行う。 これらの調査は,研究の主旨を文書および口頭で説明し,同意が得られたことを確認した上で実施する。得られたデータは研究代表者が厳重に管理し,個人情報が決して漏れないようにする。調査の実施が協力者の心身に不必要な負担をかけると判断される場合には,すみやかに中止する。 (4)以上の調査結果に基づいて,「心の動き方」や「関係性」への気づきを活性化させる視覚教材の作成を開始し,吟味する。
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