中国の王朝交替期における絵画動向をめぐって―宋代以後の遺民画家の作例を中心に
Project/Area Number |
17K13362
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Field |
Fine art history
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Research Institution | Kyoto National Museum (2021-2022) Administrative Agency for Osaka City Museums (2019-2020) 公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、大阪市立東洋陶磁美術 (2017-2018) |
Principal Investigator |
森橋 なつみ 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部調査・国際連携室, 研究員 (20795281)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2018: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 中国絵画史 / 宋元 / 遺民 / 中国絵画 / 美術史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はひきつづき南宋から元への王朝交替期に活躍した画家を中心として、調査研究をおこなった。作品調査は東京・大阪を中心におこない、資料収集として徳島や長崎などに訪れた。特に遺民画家のキョウ(龍+共)開と鄭思肖については、同時代を中心とした文献の記述と現存の作品から、両者の特質を整理した。遺民画家の評価は、後世の王朝交替期など似た境遇を迎えた時期に再浮上して其時の文脈の中で高められていく傾向があるため、同時代史料の検証が重要である。彼らの等身としてのありようは如何なるものだったか、後世どのように評価され、あるいは伝説化されるのかを峻別していくようつとめた。その成果の一部を「亡国と美術―宋遺民の絵画をめぐって」(令和4年度京都国立博物館 夏期講座、8月6日)のなかで報告した。また、キョウ(龍+共)開と鄭思肖と同時代に杭州で活躍した画僧牧谿について、水墨表現の特質を中心に再検討した。牧谿は中世日本に将来されて以降日本で絶大な評価を受けてきており、先行研究も多いが、牧谿の実態については不明なことも多い。本研究のなかでは、牧谿の水墨表現と遺民画家たち画風の親近性について着目し、宋末元初という時代相や南宋故地の杭州周辺で行われた絵画動向を探った。牧谿の水墨表見については、近年解体修理を終えて鮮明に画面の表情を確認できるようになった「遠浦帰帆図」(重要文化財、京都国立博物館蔵)などを中心に考察し、その成果の一部を「日本の茶文化における中国絵画受容」(特別展「京に生きる文化 茶の湯」記念講演会、10月29日)などで報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度は新型コロナウイルス感染症の制限が残っていたため、これまでの調査研究の成果や集積してきた資料についてまとめていった。ただし、年度の後半にむかって制限が次第に緩和されていき、国際間の移動が可能になってきたことを受け、ほとんど実施できていなかった海外調査の可能性を再検討した。本研究期間で順延、また中止としていたもののなかで、再調整の見込みができたものを実施するため計画を見直したが、時間的制約があり本年度内での完了に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
再延長をして最終年とした2023年度は、研究成果を集成・公表していくため、研究発表や論考の準備を進める。また、研究期間中に実施できていなかった海外調査を実施し、考察に必要な作品の情報や文献資料を補いたいと考えている。
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Report
(6 results)
Research Products
(19 results)