結晶性を有する二重網目構造の構築とプロトン交換膜としての展開

• Project/Area Number: 17K14538
• Research Category: Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
• Allocation Type: Multi-year Fund
• Research Field: Polymer/Textile materials
• Research Institution: Kanagawa University
• Principal Investigator: 片岡 利介 神奈川大学, 工学研究所, 客員研究員 (20514425)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2019-03-31
• Project Status: Discontinued (Fiscal Year 2018)
• Budget Amount: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000); Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000); Fiscal Year 2018: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000); Fiscal Year 2017: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
• Keywords: 結晶性高分子 / プロトン交換膜 / 結晶 / 電子顕微鏡 / プロトン伝導 / 燃料電池 / 二重網目構造 / コンポジット / 高分子 / 球晶 / 反応・分離工学 / プロトン伝導材料

Outline of Annual Research Achievements

昨年度の研究では、結晶性高分子をモノマーとブレンドした後に高分子を結晶化させ、その後熱重合することで結晶性/非晶性の二重網目構造を持つ薄膜を得た。しかしこの方法では、混合の際にモノマーの揮発と重合を避けるために融点の低い結晶性高分子を使用せざるを得ず、最終物の高い耐熱性が期待できなかった。そこでこの問題を解決するため、今年度は一度溶媒中にて高分子を結晶化させ、その後溶媒をモノマーへと置換し、重合する方法で、融点の高い高分子からなるプロトン交換膜が得られるか検討を行った。まずモノマーとしてスチレン、結晶性高分子としてモノマーの沸点よりも高い融点を持つアイソタクチックポリプロピレン(iPP)を選択した。iPPの濃厚溶液をメルトプレスし、冷却してiPPを結晶化させた。得られた薄膜をスチレンへ浸漬した後、熱重合とスルホン化により最終的にプロトン交換膜を得た。この膜内部の溶媒はほぼ完全にスチレンに置き換わり、スルホン化後はスルホ基が均一に分布していることが確認された。またこの方法で得られた膜は、昨年度作製した二重網目を持つプロトン交換膜と同等のプロトン伝導性とメタノール透過性を示した。膜の作製条件と構造・物性との関係について考察した。
更にこの作製法を溶剤耐性のあるフッ素樹脂へと転換が可能であるか予備実験した結果、製膜性にまだ問題があるものの、一部のフッ素樹脂においてプロトン伝導性を有するコンポジットを得ることができた。本結果は、膜の作製法を工夫することで幅広い組み合わせで二重網目を構築できることを示すものであり、高分子の選択肢により必要に応じた物性を持つプロトン交換膜が得られることを期待できる。

Research Products

• [Journal Article] The degree of crystallinity and segmental mobility in interpenetrating spherulites of poly(butylene succinate) and poly(ethylene oxide) (2018)
  • Author(s): Takayuki Ikehara, Toshiyuki Kataoka
  • Journal Title: Polymer Journal Volume: 印刷中 Issue: 6 Pages: 431-438
  • DOI: 10.1038/s41428-018-0029-7
  • NAID: 40021555437
  • Peer Reviewed
• [Presentation] 高分子薄膜の結晶化挙動と分子量・膜厚の依存性 (2018)
  • Author(s): 佐藤大輝、片岡利介、池原飛之
  • Organizer: 第67回高分子学会年次大会
• [Presentation] 結晶性/結晶性トリブロックコポリマーの合成と球晶成長速度 の解析 (2018)
  • Author(s): 石﨑裕希、片岡利介、池原飛之
  • Organizer: 第67回高分子学会年次大会
• [Presentation] シリコン基板へのポリアミドのグラフトと結晶化 (2018)
  • Author(s): 鈴木祐太、片岡利介、池原飛之
  • Organizer: 第67回高分子学会年次大会
• [Presentation] Poly(hydroxybutyrate)とpoly(ethylene oxide)からなる共重合体の合成と球晶成長速度 (2018)
  • Author(s): 田中一成、片岡 利介、池原飛之
  • Organizer: 第67回高分子学会年次大会
• [Presentation] 結晶性/非晶性グラフトコポリマーの合成と球晶成長速度の解析 (2018)
  • Author(s): 杉浦恭介、片岡利介、池原飛之
  • Organizer: 第67回高分子学会年次大会
• [Presentation] 結晶性高分子と非晶ネットワークからなる薄膜の作製条件とプロトン伝導度 (2018)
  • Author(s): 矢口翔剛、片岡利介、池原飛之
  • Organizer: 第67回高分子学会年次大会
• [Presentation] 固体表面にグラフトされたpoly(butylene succinate)およびそのコポリマーの結晶モルフォロジー (2018)
  • Author(s): 岡里沙子、片岡利介、池原飛之
  • Organizer: 第67回高分子学会年次大会
• [Presentation] 結晶性トリブロック共重合体の合成と球晶成長速度の解析 (2018)
  • Author(s): 石﨑裕希、片岡利介、池原飛之
  • Organizer: 第67回高分子討論会
• [Presentation] 結晶性/非晶性グラフトコポリマーの球晶成長速度に与える非晶性グラフト鎖の影響 (2018)
  • Author(s): 杉浦恭介、片岡利介、池原飛之
  • Organizer: 第67回高分子討論会
• [Presentation] シリコン基板表面にグラフトされた結晶性ポリマーおよびコポ リマーの結晶化 (2018)
  • Author(s): 岡里沙子、片岡利介、池原飛之
  • Organizer: 第67回高分子討論会
• [Presentation] Poly(ethylene oxide)薄膜におけるレジーム転移温度の分子量及び膜厚依存性 (2018)
  • Author(s): 佐藤大輝、片岡利介、池原飛之
  • Organizer: 第67回高分子討論会
• [Presentation] ポリアミドのシリコン基板へのグラフトおよび グラフトポリアミド の結晶形態の観察 (2018)
  • Author(s): 鈴木祐太、片岡利介、池原飛之
  • Organizer: 第67回高分子討論会
• [Presentation] 結晶性/非晶性トリブロックコポリマーの球晶成長速度 (2018)
  • Author(s): 田中一成、片岡利介、池原飛之
  • Organizer: 第67回高分子討論会
• [Presentation] 結晶性高分子からなる薄膜の作製とプロトン伝導度 (2017)
  • Author(s): 矢口翔剛，片岡利介，池原飛之
  • Organizer: 第66回高分子学会年次大会
• [Presentation] 固体表面にグラフトされたブロックコポリマーの結晶モルフォロジー (2017)
  • Author(s): 岡里沙子，片岡利介，池原飛之
  • Organizer: 第66回高分子学会年次大会
• [Presentation] ポリアミドのシリコン基板へのグラフトと結晶化 (2017)
  • Author(s): 鈴木祐太，片岡利介，池原飛之
  • Organizer: 第66回高分子学会年次大会
• [Presentation] Poly(ε-caprolactone)/poly(methyl methacrylate)リアクティブブレンドにおける相挙動と結晶化速度 (2017)
  • Author(s): 片岡利介，伊藤和也，加藤曜，池原飛之
  • Organizer: 第66回高分子学会年次大会
• [Presentation] 結晶性ブロックコポリマーの合成と球晶成長速度の解析 (2017)
  • Author(s): 石﨑祐希，片岡利介，池原飛之
  • Organizer: 第66回高分子学会年次大会
• [Presentation] 固体表面にグラフトされた結晶性高分子のラメラ形態と結晶化速度 (2017)
  • Author(s): 池原飛之，片岡利介，小菅大樹，小林翼
  • Organizer: 第66回高分子討論会
• [Presentation] Poly(ε-caprolactone)/poly(methyl methacrylate)ブレンドにおけるメルト反応と核形成 (2017)
  • Author(s): 片岡利介，伊藤和也，加藤曜，池原飛之
  • Organizer: 第66回高分子討論会
• [Presentation] 結晶性トリブロックコポリマーの合成と球晶成長速度の解析 (2017)
  • Author(s): 石﨑祐希，片岡利介，池原飛之
  • Organizer: 第66回高分子討論会
• [Presentation] Poly(L-lactic acid)/poly(D-lactic acid)ブレンドにおけるステレオコンプレックス球晶とPLLA球晶の形成ダイナミクス (2017)
  • Author(s): 片岡利介，守野優介，岸野将大，池原飛之
  • Organizer: 第66回高分子討論会
• [Presentation] シリコン基板表面にグラフトされたpoly(butylene succinate)-block-poly(ethylene oxide)の結晶化 (2017)
  • Author(s): 岡里沙子，池原飛之，片岡利介
  • Organizer: 第66回高分子討論会
• [Presentation] 結晶性高分子及び架橋した非晶性高分子からなるプロトン交換膜の物性 (2017)
  • Author(s): 矢口翔剛，池原飛之，片岡利介
  • Organizer: 第66回高分子討論会