Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
子宮頸部腺癌は子宮頸癌の 20-25%を占め、その割合は近年増加傾向にある。現行のWHO分類では、最も頻度の高い通常型腺癌に加えて、胃粘膜上皮への分化を示す予後不良な組織亜型として、新たに胃型腺癌が提唱された。同様に胃粘膜上皮への分化を示す分葉状頸管腺過形成(LEGH)は胃型腺癌の前駆病変である可能性が示された。現状ではこれら胃型腺系病変の定義は、主として形態学的所見に基づいているが、形態学的所見のみでは胃型腺癌と通常型腺癌、LEGH と既存の頸管腺や化生などの良性変化との鑑別が困難な症例も多い。本研究では病理組織像に加え、免疫染色による子宮頸部腺系病変の表現型分類に基づいて、子宮頸部腺系病変におけるHPV感染頻度と局在を明らかにすることを目的とした。対象は、当大学病院にて、1996年1月1日から2016年7月31日の期間に、子宮全摘術あるいは円錐切除術の手術が施行され、病理診断で分葉状頸管腺過形成(LEGH)あるいは腺癌と診断された連続症例とした。その結果、LEGH23例、浸潤性腺癌51例、上皮内腺癌29例、分葉状頸管腺過形成(LEGH)23例が得られた。まず免疫組織化学にて、全103症例を胃型、腸型、ミュラー管型、その他に表現型の分類を行った。この結果、LEGHは全例で胃型の表現型がみられ、現行のWHO分類で通常型腺癌と診断された症例(55例)の中にも、数多く胃型(18例)や腸型(38例)の表現型を有する症例が認められた。現在、各表現型におけるヒトパピローマウイルス(HPV)感染の頻度と局在をRNA-ISH法を用いて解析中であり、学会発表、論文化の予定である。