Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
オートファジーは、細胞内の主要な分解機構であり、飢餓応答や細胞内恒常性維持などを通じて、様々な病態に対抗することが明らかとなっている。一方、サルコペニアは筋肉量の減少および筋力の低下と定義され、慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)はサルコペニアを引き起こす基礎疾患の1つである。CKDに伴うサルコペニアは、患者の日常生活動作を低下させ、転倒骨折、誤嚥、心血管疾患の増加に深く関わり、医療経済を圧迫する要因となっているが、いまだ有効な治療法が確立していない。本研究は、CKDにおける骨格筋細胞のオートファジーの役割を検討し、オートファジー活性を調節することでサルコペニアの新規治療の可能性を模索することを目的としている。①野生型マウスを用いた虚血再灌流+片腎摘モデルにおいて、継続的な腎機能低下および間質の線維化を認めた。腎機能障害は全てのマウスでほぼ同程度であり、手技の正確性や再現性の点からもCKDの長期観察に適していることを確認した。最適な虚血時間についても検討を行った。②確立したCKDモデルマウスにおいて、筋重量・筋力の低下と骨格筋細胞サイズの縮小を認めた。また同骨格筋細胞において、オートファジーフラックスが亢進していることを見出した。③研究実施計画に基づいて骨格筋細胞特異的オートファジー不全誘導マウスを作製した。同マウスの骨格筋においてオートファジーの基質であるp62が蓄積しており、オートファジーが欠損していることを確認した。