Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究の目的は意図的な毛様体解離により眼圧下降を得られるかどうか、また眼圧下降量は制御可能なものであるかを検討し、眼圧コントロールが困難な血管新生緑内障などの治療法として応用可能であるかと確認する事であった。家兎に対する実験においては、意図的毛様体解離に伴う眼圧下降を確認することができた。実験は、光順応により眼圧の安定化を行なった家兎(6羽)を対象に、右眼のみ意図的毛様体解離を作成した。術前の平均眼圧は両眼で有意差を認めなかった(p=0.3341)。術翌日、術2日目、術後1週間目の眼圧は術眼で有意に(それぞれp=0.0101、p=0.0038、p=0.0370)低下を認めた。しかし、術後2週間目、術後1ヶ月目の眼圧は、両眼で有意差を認めなかった(それぞれ、p=0.0637、p=0.1986)。前眼部OCT検査にて毛様体解離を確認することができたが、剥離の大きさと眼圧低下に相関は認められなかった。また明らかな隅角解離は認められなかった。本実験から毛様体解離を作成する事で眼圧が下降する事が確認された。強膜創からヒアルロン酸ナトリウムを注入することで、容易に意図的毛様体解離を作成することが可能であり、また遷延する低眼圧は生じなかった。隅角解離を伴わない毛様体解離のみで眼圧下降が得られるという知見が得られた。一方で毛様体解離の大きさと眼圧下降の相関は認められず、現在の手技では眼圧下降量の制御は困難であると考えられた。また眼圧下降は1週間程度しか得られておらず、使用したヒアルロン酸ナトリウムの分解とともに毛様体解離が消失し、眼圧が正常化したと考えられた。より長期間の眼圧下降を得るためには、分解されにくい物質の選択が必要と思われる。本研究より、毛様体解離作成による眼圧下降は可能であることが明らかとなった。最適な材料を用いることにより、実臨床への応用も可能であると思われる。
All 2019
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)
Graefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology
Volume: 257 Issue: 9 Pages: 1831-1840
10.1007/s00417-019-04371-6
Ophthalmology Retina
Volume: 3 Issue: 9 Pages: 767-777
10.1016/j.oret.2019.04.015